2005年5月編


 研修方法を少し変え、 飾られた席の良い点を見つけ出す ことになりました。これは、「ここをもう少し変えれば良くなる」とか「ここが良くない」とかのアラ探し的な勉強方法では、なかなか個々の力が伸びない為で、良い点をキチンと見極めることのできる鑑識眼(鑑賞眼)を養い、それぞれが行う飾りに役立たせることにあります

今月の飾り
梓川産溜まり石
白磁楕円水盤
紫檀平卓
掛け軸は、ヤナギにツバメの図


添えはミズトクサ

3点飾り



 今月の研修については、仕事の都合で、参加するのが遅くなってしまい、仲間の感想や意見などを聞く事ができませんでしたので、今月については、私の感想だけを書かせて頂くことにします


□この飾りの良い点 については

・パッと見た感じで、白磁(丸善)の水盤により涼しげな感じを受け、初夏の飾りとしては冷涼感が出ている
・柳にツバメの画題も、今の時期には涼しげで良いと思った
・添え草もミズトクサを用いていて、冷涼感とともに柔らかさをも演出していて、ちょっと強めの卓に対しては、柔らかさを演出する意味で良い取り合わせだと感じた
・石、水盤、画題、添え草の素材の取り合わせは、季節感とともに冷涼感もあり、初夏の飾りとしてはまあまあではな
などと感じています

□まとめ(全体講評) としては

 季節感や冷涼感の表現、取りあわせをした素材については、今の時期としては、ちょうど良いのですが、卓がかなりゴツイので、野暮ったい感じを受けてしまうのが、ちょっと残念です。野暮ったい感じを受けてしまう原因は、卓だけではなく添え草の大きさ(ボリューム)にも原因があり、この大きさでは主石に対してボリュームがありすぎるのも、大きな要因の一つとなっています。この添え草は、たぶん7寸くらいの練り紫泥の鉢に植えられていたのですが、この席では、やはりボリュームがありすぎでしたね。4〜6寸くらいの鉢で、ちょうど良いと言うところでしょう
 
 それよりもポイントは『卓のゴツサ』でしょう。もっとスッキリとした卓に変えれば、1〜2格くらいは上がりそうな飾りです。いかに卓が重要かがこの飾りでもわかっていただけるのではないでしょうか?

 さて、今回はもう一つポイントがあります。この主石は、以前に展示会で席飾りに使われた石で、記憶の良い方は覚えているかもしれませんが、  この時  に和室の床の間飾りに使われた石なのです。今回の研修会でも、席主は会場内の席飾りの担当になっていて、この石を再度出品したいらしく、この研修会に持ち込んできたようなのです。
 年月とともに姿を変える盆栽や草物と違い、水石の形状は何年経っても変わりませんので、あまり立て続けに同じ石を出品するよりも、できれば石を変えて出品した方が良いと思うのですが、席主はこの石に愛着があるようで、再度飾ってみたいということだったそうです
 私自身は、同じ石を出品することは好きではなく、あまり好みません。もちろん、地方と全国くらい違えば、同じ石を数年内に出品する事は何ら問題ではありませんが、同じ会の展示会では、なるべく避けた方が良いと思っています。かと言って、同じ石を同じ展示会で出品する事は、絶対のタブーというわけではありません

 同じ石を同じ展示会に複数回出品する時は、飾り方を変えて飾ればまったく問題は無いのです

 水石の展示会というのは、姿を変えない石を展示するわけですから、たとえ名石と呼ばれるような良い石であっても、出品するたびに毎回同じ飾り方で飾っていては、まったく芸がなく、水石の楽しみの一つでもある『諸道具の取り合わせを楽しむ』こととは懸け離れてしまいますし、面白味もありません。そのため、使っている道具を変えたり、飾る季節を変えたりして、そのバリエーションを楽しむ事をするわけです

 ですから、今回の席も、再度展示会へ出品するのならば、やはり、道具の取り合わせくらいは変えて飾りたいもので、個人的には、卓使いを変えて欲しいと感じました



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