『ピンからキリまで』そんな言葉が相応しいのが地板でしょうか。ヨダレが出そうなほど良い物もあれば、タダでくれてもいらない物がたくさんあるのも地板ですね。あまりにも良い物と悪い物の差が大きく、あまり気にかけられていない道具でもあります
 多くの方は、地板選びに関しても、大きさや厚さには注意を払っても、それ以上の事になると、あまり注意を払われる事のない道具ではないでしょうか。前述したとおり、石・水盤・卓・掛け軸・添え草などが完璧に良く取り合わせる事ができても、たった一つの地板を間違えて合わせてしまうと、せっかくの飾りも台無しになってしまいます。たかが地板かもしれませんが、されど地板で、脇の脇役かもしれませんが、大事な道具の一つであることは間違いありませんので、地板にまで気を配る事も必要だと思っています
 地板の使い方については、別項で書くつもりですので、ここでは、さまざまな地板について、その特徴や見所、欠点などを示していき、地板選びの参考にしていただきたいと考えています
 lこの地板は、いわゆる薄板と呼ばれている地板で、茶道で花入れや地板として使われているものです。仕上げは木地・拭き漆・真塗り・春慶塗などが一般的で、縁は蛤仕上げになっている物が多いです。これは、蛤端で木地仕上げのものです。一番入手しやすい地板であるかもしれません
 この地板は、薄板の一種なのですが、特に薄く仕上げられ、端も切立になっている物です。また、大きさも一般的なサイズより小さめに作られていますので、ひょっとしたら、茶道用の薄板ではなく、盆栽用に作られたものかもしれません。左側は木地で、右側には漆がかけられています
 これらの地板が『薄板類』です。真塗りなどの塗り物になると桐材も使われていますが、木地や拭き漆仕上げの物については、ほとんどが杉材が使われています。一番左は拭き漆仕上げ
 薄板類は、小さな石の水盤飾りから、盆栽や草物飾りにまで使え、平卓がない時にも使える重宝な物です
 この薄板は、真塗りの薄板です。普通は縁が蛤端か矢筈になっているものが多いのですが、これは若干面が取ってあるだけの物です
 この地板は、いわゆる『船材の虫食い板』と呼ばれている物です。白っぽく見えるのが、虫が食べた食痕です。この板は、間口が60cm以上ありますので、水盤飾りに重宝してます
 これらの地板は、杉材等の長方地板です。小さい物で間口が20cm、大きい物では間口が80cmほどある物まであり、主に水盤飾りに使っています
 この地板は、欅材の長方地板ですが、少し厚めになっていて、角は隅入り、縁は彫刻が施され、拭き漆仕上げになっています
 主に添配や盆栽・草物飾りに使っています
 この地板は、隅入り長方の少し厚めの地板で、拭き漆仕上げになっています。水盤飾りに使えない事もないのですが、主には添配と草物に使っています
 これらは厚めの長方形地板です。奥の地板は肥松のうづくり仕上げ地板です。どれも厚みがあるので、基本は添配・草物・盆栽飾りに使います
 これらは、竹や葦などを編み込んで作られた丸形系統の地板です。添え草は丸鉢で作られる事が多いので、普通の丸い樹木素材の地板が、使えませんので、同じ丸形でありながらも、変化のあるものですから、この地板の上に丸鉢を置いても違和感はありません。使用できるのは4月〜11月です
 これらは、基本的には土瓶敷きの流用地板です。夏季限定ではありますが、添え草に合わせると清涼感を産み、なかなか良い物です。右手前の2枚は、拭き漆仕上げになっています
 これらの地板卓は、丸系統でありながらも、少し厚みがある地板類です。よく見ると、井戸の滑車・糸車の歯車・茶托などもあり、すべてが他の物からの流用品です。やはり添配や草物を置くために使っています
 こちらの地板は、上記の物よりさらに厚みのある地板です。ここまで厚く大きくなってしまうと、なかなか使う機会がありませんが、大きめの草物を飾る事を想定して、入手してあります
 この地板は、真塗りの丸形地板に縁の部分が竹で囲まれている地板です。たまに見かけるタイプの物で、夏季限定ではありますが、上品な主飾りの地板として使える物です
 この地板は、杉の楕円うづくり地板に、縁の部分に黒竹が巻かれている物です。夏季の文人飾りに使える地板です
 これらの地板は、正方系統の地板です。この写真でもわかりますように、1〜2cm刻みでこのような地板が揃えてあり、添え草や小さな添配用に使っています。隅は撫で角が多いのですが、隅切りの地板もあります。正方で隅が直角に近い物は、どうしても硬さが残ってしまい、添え草を置くのにも不向きで、隅の処理をしてあるものでなければ、使い物になりません。材質はいろいろありますが、柔木が使い易いでしょう
 これらの地板は、多角形の地板です。多角形の地板は、八角の地板が多い(上3枚が八角)のですが、下の2枚は十六角の地板です。八角ですと、硬さは残る物の添え草には充分使えます。もちろん、大きめの物は盆栽・草物・添配などの主役を置いても大丈夫です。材質もいろいろあり、真塗りのものも良く見かけます
 これらは波形の地板です。大きい物は水盤石・台座石・盆栽・草物・添配などの主役飾りに使えますし、小さなものは、添えの添配や草物に使え、一番出番の多い形ではないでしょうか。材質も硬木から柔木までさまざまで、時に真塗りの物も見かけますが、形が良い物は見た事がありません。この中にも、イマイチなのもありますが・・・
 こちらは、変わり形の地板です。古い船材や水車板を使った物などがあり、ちょっとくだけた感じで飾る時には、このような、変わり形の地板を使うのも面白いと思います
 これは丸地板ですが、表面に彫刻がある物です。普通の丸地板ですと、使い道が少ないのですが、土瓶敷きの類みたいに、素材がくだけた物や、このように装飾がある物などは、地板に変化がありますので、丸鉢と取り合わせてもかまいません
 この地板は、良く見かける玉杢の地板です。波形地板とこの手の地板については、なんといっても、その『形が命』です。急激な出入りがあったり、変な飛び出し(突起)があるような物は、まったく使い物になりませんので、注意する事が必要です。これも大きい物は主役に、小さなものは添えに使えます
 これは班竹の地板です。班竹性の地板の中でも一般的な長方の地板です。正方の地板もあるのですが、使い道が限られてしまいますので、長方の方が使い易く、大きなものは主役に、小さなものは添えに使えますが、竹製ですので、使用期間は4月〜11月までです(他も同じ)
 これは班竹地板です。地板に弾み(動き)をつけるために、端を揃えずに、1本おきにずらして編まれた物です。この手の形にも特殊な呼び名があるのですが、ど忘れしてしまいました。これも、大きなものは主役に、小さなものは添えに使えます
 これは筏型の班竹地板です。筏型には、このように最初から筏型に編み込まれている物と、半分ずつに別れて通草(アケビ)蔓などで止められている物があります。また、時には、3枚で筏型が構成されている物もあります。大きなものは主役に、小さなものは添えに使えますが、注意する事は、勝手の方向で、この場合は右勝手になります
 これはホテイチクの長方地板です。使い方は他の物とまったく同じなのですが、ちょっと珍しいかなと思い、載せてみました
 これは班竹の短冊地板です。留め跡もないため、筏の別れではなく最初から短冊形として作られた地板です。短冊形の水盤石飾りや、草物飾りに合いそうな形です
 これはスズタケ製の長方地板です。世間の評価はどうなのかはわかりませんが、竹製地板の中では最高峰のものであると思っています。なにより、この細さと出来の良さ、品の良さは出色で、どのような竹の地板を持ってきても、これにはかなわないでしょう。これは、一番シンプルな形の長方地板ですが、水盤石・盆栽・草物等何と取り合わせても、一格上の飾りになります
おそらく、そこそこの数が出回っているのが、名品としての地位をもたらさなかったのかもしれません
 これはスズタケ製の違い編み地板です。長方の地板もシンプルで良いのですが、この編み方(形)は、違いの出入りもほど良い出入りで、うるさくなく上品な出入りを呈していて(上の班竹地板と比べてみて下さい。違う事がわかると思います)、かなり良いものである事が写真でもおわかりのことと思います。長方よりもはるかに上品に出来ていますので、痩せの効いた水盤石飾りや天突きの草物飾りには最高の地板になります。小さいものなら、草物の添えにも使えますが、あまりに上品な地板のため、主役に使う卓や地板は、相当吟味しなければあわせる事が出来ないかもしれません。大げさに言うと、主役専門の地板といえるかも知れません
 これは種々の総竹製地板です。古いものは、100年以上経過している物もあり、飴色になった竹の時代感というのは、なかなか趣があり、これらを使う事に楽しさ感じます。ここに載っている物は、班竹とスズタケ製のものですが、これ以外にも、普通の竹(マタケとか)・黒竹・図面竹・ゴマ竹などが一般的には多いです。紅班竹・寒竹などでできたものもありますが、数的には希少で、寒竹のものは、なかなか良いものもありますが、いかんせん、数がありません。また、紅班竹でできているものは、ちょっとうるさい感じがして、あまりお勧めではありません
 これらはスズタケ製の地板です。それほど欲しくない時には、売り物が見つかるのですが、欲しい時には、なかなか現物と出会えないのも不思議な事で、もう少し大きいのと、小さめのものを3〜4枚ほど探しているのですが、なかなか見つかりません
 これは竹編み製の長方地板です。私が設計したものでして、埼玉の竹職人に作らせ、奈良井(木曽)で拭き漆を掛けてもらいました。水盤石飾り用にと設計したものですから、基本は水盤石飾りに使いますが、雑木盆栽も飾る事ができます。製作後8年程しか経過していませんので、まだまだ新しさは消えていないところが欠点でして、時代がない水盤とはまったく合わないのが玉にキズで、しっかりと時代のついている水盤なら、変った飾りが出来る地板です
 これは竹編み製の地板です。マタケなどの表面を薄く剥いだもので編みこまれた地板です。左のものは、長方でやや撫で角気味に編みこまれたもので、右の物は大撫で角に編みこまれたものです。色見が違って見えるのは、塗料のせいで、黄色く見える右の物はクチナシで、茶色く見える左のものは柿渋で着色されています。水盤石飾りとか草物飾りに使う地板です
 これは竹編み製の地板です。丸の一角を切り取った半月と呼ばれる形で、いわゆる折敷(ランチョンマット)を転用したものです。基本形が丸ですので、草物か文人盆栽を飾るのに使われます。折敷として実用的に使う場合は、切り口を正面として使いますが、飾りに使う場合は、切り口を後面に回して使います。普通の丸地板よりも広めに使うのが、この手の特徴でもあります
 これは竹編み製の地板です。それほど使われるアイテムではないと思いますが、展示会における飾りでも、1〜2個ほど使うと変化があって良いものです。使用頻度は低くても、数枚持っていると展示会では活躍しますので、大小くらいは揃えてみたいものです
 これはイグサ編みの地板です。小さいもの(間口25cm位)ですので、基本的には草物に使いますが、小品水盤飾り使っても面白いものです
 これは杉製筏形地板です。竹製の筏は2枚で構成されるものが多いのですが、このような板製の筏は3枚組で構成されるのが一般的です。もちろん、2枚組のものもありますが、これは3枚組の省略形という感じでしょうか。使うのなら、やはり3枚組の方が良いと思います。この板製の筏も奥が出っ張っている方が勝手側になりますので、使うときには勝手を間違えずに注意してください(これは左勝手です)
 これは正確には地板ではありませんが、地板と同じ使い道があるという事で、載せてみました。実際は紫檀の盆なのですが、裏板がこのように凹んでいなくて、四方と水平が取れているのであれば、充分地板と同じに使う事ができます
 この場合、この厚みが地板の厚みと同じになってしまいますので、あまり軽いものは載せる事ができません。台座石・盆栽・強めの草物などが良いでしょう。もちろん水盤石でも大丈夫です
 これも上と同じ紫檀の盆です。上の物は、長方で飾りも少なくシンプルな物ですが、こちらは軍配型に隅入り、四方は細かい彫刻入りという、ちょっと凝った作りになっています。そのぶん、上の物よりも軽い飾りに使う事ができる地板だと思います
 ここでは、いくつかのタイプの地板を紹介してみました。それぞれの特徴や使い方を示すことで、少しでも地板使いの参考になればと思っています。たかが地板かもしれませんが、奥が深いものであると考えています。特に、道具の取り合わせについては、地板の選択も結構大きなウェイトを占めるのですが、紙面の都合があり、ここでは触れずに、そのうち触れていきたいと考えています
 今回、いわゆる『根卓』というものについては、まったく触れていません。名前のとおり「卓」の仲間かというと、そうではなく、実際のところは地板の仲間と考えていた方が良いかと思います。根卓でも、足の長い物は卓と考えても良いと思いますが、一般的な根卓は、やはり地板と思って、地板のように使うのが正確で良いと思います。できるならば、実際の例でも示したいところなのですが、なにしろ根卓については、1点も持っていませんので、示しようにも示す事ができませんでしたので、ここで文章のみで触れている次第です。
 根卓を卓ではなく地板と考える、その理由は足にあります。卓の足は4本であり、水石などを置く前面は、薄く開いている事が求められ、そのようにできています。ところが根卓については、名前は卓でありながら、物を置く前面中心の下に空間がありませんので、実際の働きは地板と同じになってしまうのです
 上の例でも示しましたが、厚い地板や盆などと同じ扱いであると考えて差し支えがありません。ですから、卓という使い方ではなく、地板と同じ使い方をするのが正しい使い方なのです。もちろん、呼称は「根卓(ねじょく)」でOKです



●地板に関する私感

 地板については、所詮脇役だからといって、あまり注意を払わない人が多いような気がします。もしくは、地板本来の使い方をしらないか・・・でしょうが、あまりにぞんざいに扱われてきたように思えます。かなり飾りに詳しいと思えそうな人でも、良くない形のものを平気で使っていたり、単純に大きさのバランスが揃えてあるくらいでしょう。かなりハイレベルと言われている展示会等を見ても、ほとんど同じで、草物に対して大きさだけ合わせてある紫檀か瘤材の地板を使っているだけの感じしか受けません
 少しでも高度な飾りを目指すのなら、やはり地板にも充分すぎるほど注意を払いたい物です。ただし、注意を払って少しでも高度な飾りをしたからといって、それに気が付いてくれる人は、ほとんどいないのが今の現状でしょうが、高度な飾りを目指すのなら、たかが地板となれど、妥協することなく使うことが必要でしょう。いつかはわかってくれる人がでてくるかもしれません(笑)
 
●変わり地板について

 添えとして主に使うだろうと思われる地板は、やはり柔木のものが主力になるだろうと思うのですが、もちろん、唐木の物についても使用用途はたくさんありますので、揃えておくのにも、バランス良く揃えておく必要はあります
 地板というと、唐木と瘤材の地板が真っ先に頭に浮かびますが、そればかりでなく、他にも変わった素材でできた物や、変わった形の物もいくつかあります。これらの変わり地板についても、使い方によっては、充分働かせる事ができますので、創意工夫しながら使い道を考え楽しむことも飾りにおける楽しみの一つだと考えています
 変わり地板としては、竹製の物・竹を編んだ物・木材と竹の組み合わせた物・蔓類で作られた物などがあります。竹製の物では、斑竹をスノコ状にアケビ蔓で編んだ物が多く見かけられ、時に烏竹・紅斑竹・寒竹・スズ竹などのものもあり、このようなスノコ状のものについては、小さいものは少なく、ほとんどがある程度大きさのある(30cm以上)が多いので、主な使い方は、水盤石かざりになってくると思います。唐木や柔木で形を作り、その縁部分に竹が象眼されているものもあり、このタイプの物についても、比較的大型の物が多く、やはり、大型の物は水盤石飾りで、小型の物は添えに使うと良いでしょう。この手の物は上作の物が多く、品の良い飾りをしたい時などには特に有効です。竹を割り、薄く削いだものを編み込んだ地板もあり、この手の物は数が少なく、時には驚くほどの上作の物すらありますので、出会ったら、ぜひ入手したい物です。蔓類で編んだものについては、元々地板として作られた物はほとんどなく、そのほとんどが、茶托やいわゆるランチョンマットからの転用(流用)されたものです
 いずれにせよ、竹類や蔓類で作られた物は、清涼感を演出する夏使いです。使用時期は限られてしまいますが、夏には重宝する物ですので、主役用・脇役用といくつか揃えたいところです

 また、平根卓と呼ばれている根卓についても、定まった足がないことから、基本的には地板の一種と考えて良さそうです。これについては、素晴らしい出来の名品から、中国製の普及品まで意外と数も多いのですが、そのボリュームと厚さから考えると、添えを置く物ではなく、主役専門に地板と考えて差し支えないでしょう
 この根卓については、あまり好きな地板ではなく、持ち合わせもありませんでしたので、写真入りで紹介する事ができませんでしたが、ご容赦下さい

●地板の補修

 今まで書いたこれらのことに共感できる方は、本当に使える地板の数の少なさに驚かれたことと思います。私もまったく同じでして、水石盆栽業界や指導者の底の浅さと、地板作りのメーカーや作家さんにあきれていました。波形紋様の地板にいたっては、そのまま使えそうな物は、ほとんど無いのが現状ですから、ただ探しているだけでは、揃えるのに途方もない時間がかかってしまいますので、地板に関しては、おのずと補修して使わざるを得ません。ですから、そこそこ形の良い物を入手したら、形状上邪魔をしている部分(不要部分)を削り取ったり、縁処理の手直しをしながら、使えるもの変えることが必要になってきます
 適当な木工用具と、サンドペーパー・オイル・オイルステイン・漆などがあれば、誰でも簡単に補修することができますので、やる気のある方は、チャレンジしてみてください。地板が一格上がることは間違いありません

●積極的な地板の使用

 地板は、ほとんどの場合、主役を乗せる役割として使われることは少なく、主役を乗せる場合でも、せいぜい大きめの斑竹地板が使われるくらいで、盆栽にしても、文人木を飾る時と、大型の寄せ植えを乗せる時くらいしか見られず、大部分は添えの地板としての利用しているに過ぎません。もちろん、足が付いている卓の方が、地板よりも一格上ですから、それはそれで結構なのですが、だからといって、主役に卓ばかり使っていても、まったく面白味に欠けてしまいますし、バリエーションある飾りを楽しむ事もできなくなってしまいます。地板は、平卓と同じ働きをしますので、いつも平卓にばかり飾るのではなく、時には地板に飾って鑑賞する事も、道具使いのを楽しむ飾りの一つの方法です
 特に展示会などの場合は、ほとんどの人が卓を使って出品する傾向にありますので、卓ばかりですと、席全体のバランスもあまり良くなく、中卓・平卓・地板とバランス良く飾られている方が、変化があって調和した展示になります
 また、自宅で飾りを楽しむのなら、平卓と地板と使い分け飾りのバリエーションを楽しむのにも最適です。水石の場合は、島型・溜まり・茅舎・舟形などは、地板で飾れますし、主役にする添配についても、ほとんどが地板で飾れますから、これらのために、さまざまな地板を用意しておきたいものです
 水石だけでなく盆栽をもやっている人も多いと思いますが、盆栽についても、地板を使うのは文人だけでなく、寄せ植え・斜幹・模様木などは、平卓よりも地板の方が映える場合も多々あります。また、主役に草物を使う場合も同じで、多くの場合、平卓よりも地板の方が似合いますので、水石だけでなく、さまざまな飾りを楽しみたい人は、より多くの地板を持つことをお勧めします

●竹の呼称について

 さまざまな物には、一般的に通じる正式な呼び名がありますが、時には、その世界だけにしか通じない呼び名というのも多々あります。盆栽の神(ジン)や舎利(シャリ)などというのは、世間一般的に通じる正式な呼び名ではなく、あくまでも栽界の専門用語ですが、鉢や水盤の釉薬などについては、栽界独自の呼称があるように思えます。『天覧釉』などという事は、その際たるもので、均釉を掛けた焼いた物で、極めて濃く発色し、瑠璃に近い物を天覧釉などと称したりしています。もちろん、陶芸界でもそんな釉薬は存在せず、一般的(世間)には通じる言葉ではありません。瑠璃釉にしても、実際の釉薬は呉須であったりコバルトであったり、藍色に近く発色する物を総称して瑠璃釉と呼んでいます。蕎麦釉などといものは、その本歌は非常に少なく、正式には、褐色味がかかった釉薬に蕎麦粒状の黄色い結晶ができるのが、正式な蕎麦釉なのですが、色がくすんだ黄色や黄土色に発色しているものを『蕎麦釉』と称しています。このように、盆栽水石会だけで通じる用語は、陶芸としての専門用語を用いるよりは風情もあるし、別に間違っているわけでもありませんので、とても良い事だと思っているのですが、竹の呼称については、あまりに間違って呼称されるものを散見させられるので、キチンと整理しておいた方が良いかと思っています
 その代表的なものが、『寒竹』と『烏竹』でしょうか。寒竹とは紫黒色をした竹で、昔から数の少ない高級品でした。道具として残っているのも、恐らく煎茶の席で使われていた物が、ほとんどではないでしょうか。似たものに『黒竹』がありますが、これは和風家屋の庭などに植えられている黒い竹でして、寒竹とは、まったくの別物です。黒竹で作られた物はゴマンとありますが、寒竹とはまったく違いますので、一見するとすぐに見分けはつきます
 また、『烏竹』と呼ばれている竹もありますが、実は烏竹という竹は存在せず、寒竹と黒竹を総称して烏竹と言っているに過ぎません。ですから、寒竹や黒竹の事を烏竹と呼ぶのは合っているのですが、寒竹というのを見た事がある業者さんが少ないらしく、いろんな竹が寒竹に化けてしまっている事例が目立ちますので、ついついこのような事を書いてしまいました。班竹で拭き漆がかけられた物などは、古い時代のものなどは濃色の飴色を呈したものがあり、これが寒竹に化けてしまったり、スズタケも寒竹に良く化けてしまいます
 これでは、この盆栽・水石界だけで通じる専門用語とは、とても言えませんので、正式な呼称で呼んだ方が対外的にも良いのではないかと思っているところです





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