最初は、どのような水石が良い物なのかが、わからないと、水石は始まりません

 昔から「三面の法則」という言葉があり、これが水石の3要素であるということが言われておりました。具体的には「底はあくまでも座りが良い」・「左右の構えが良い」・「前後の奥行きがバランスがとれている」ということです
 また、「水石の五大要素」という言葉もあり、「水石美への招待」という著作の中で松浦有成氏は形・質・色・肌合い・時代の五つの要素が、水石の善し悪しを決める重要なポイントであると、いうようなことを書いています
 いずれにせよ、「三面の法則」は水石の形について言及したものであり、「水石の五大要素」である、形状・色彩・石質・石肌・時代は、それぞれが水石には欠かせない要素となっていて、どれ一つとっても欠かせない要素であることは間違いありません。つまり、どちらも重要な要素であると考えていますが、その中でも、とりわけ重要な要素は形状であろうと考えています

 他の四要素である色彩・石質・石肌・時代などが完備されていても、形状が悪ければ、ただのごろた石でしかありません。ただ単純に石が好きと言うのであれば、それでもまったくかまわないのですが、水石と称して床の間に飾り、美や芸術性をも感じ取ろうということであれば、やはり形状が最重要要素となることは言うまでもありませんし、「石の形状を見切る」ということが、一番重要なことでもあり、一番難しいことでもあります
 石質・石肌の善し悪しなどは、その石を見れば一目でわかりますし、時代感についても同じです。色彩については、深みがあり落ち着いた暗色系が良いのは言うまでもありません。そんなこともあり、形状の善し悪しというのが、水石の善し悪しを決める大きなポイントと言えるのです
 では、具体的にどのような形状の石が良石と判断することができるか、ということになるのですが、文字や文章でそのポイントのすべてを表現することはとても不可能ですので、形状別に写真を併用しながら、良石の見方のポイントを紹介していきたいと思います



       山形石

       島形石

       溜まり石

       滝 石

       岩潟石

       土破石

       段 石

       茅舎石

       紋様石

       姿 石

       理想型


 簡単ですが、代表的な形状のものについて、水石としての優劣や理想を書いてみました。また、水石のあるべき形としての理想型なども図示してみました。ここで注意してもらいたいことは、理想の形状の石はなかなか無いのですが、欠点の無い石もたくさんあることは事実です。「欠点の無い石=良石」とも考えられますが、欠点の無いものは、その反面見所が少ないということも多々あります。見所が少なく欠点の無い石よりも、多少は欠点があっても見所の多い石の方石が良いことが多いのです。ですから、それぞれの形状に応じた理想の形を知っておく必要があり、この理想形を知らなければ、良石であっても、どの程度の良石であるのかということがわからないからです。人それぞれに「好み」というものはあり、好みで石の評価をすることは、相対的な評価になってしまいます。自分の石や飾りを評価する場合は、それでも全然問題はありませんが、他人の石や飾りを評価する場合(評価するといっても、聞かれもしないのに、ズケズケとものを言うことではなく、自分自身の中で評価するということです)は、相対的でない絶対的な評価が必要で、それには、絶対的な評価を行うことができる眼力も必要になり、その眼力を養うためにも、形状に応じた理想形を正確に把握しておくことが大事になります。自分自身の好みに合わせた収集をしたり、個性的な飾りを行うことは大事なことですが、それと同時に、このような絶対評価をできる眼を養うことにより、自らの個性も洗練されていくのではないかとも考えています
 もう一点注意をしなければならないのは、水石としての絶対評価と価格とは別物ということです。価格ということになってしまうと、希少性・見た目の良さ・時代感・由来(来歴)・人気などの、他の要素がさまざまに絡んできますし、石を扱っている業者さんの力(眼力)も一様ではありません。高価なものほど良石とは限らず、どちらかというと安価な場合の方が多々ありますので、石を購入するされるような場合でも、このような理想形を覚えておくと、とんでもない掘り出し物に出会えることもあります

 いずれにせよ、重要なことは 『見付けの線』 と 『構えの線』 の美しさであることがわかると思います。今までの水石の形状の見方は、形似を本旨として、あまり形の善し悪しが取り上げられることなく、「多少形状は悪いけれど、石質が見るべきものがあるから、この石は立派な水石だ」とか「この石は、石質も良く、肌合いも優れていて、形状は悪いが、なによりも時代が乗っている良石である」などというようなことが巷間言われたりしていたのですが、私からすれば、これでは単なる石好きであり、けっして美を演出するような水石とは異なったものであると考えざるを得ません。もちろん、見付けの線と構え側の線が美しければ、それだけをもって良石と判断するわけではなく、いろいろな要素の中でも、「形の美しさ」が最重要視されるであろうということです
 鑑賞者が一般の人を対象にしたものであり、水石美を表現するというものであれば、一番重要な形状にこだわりたいと私は考えています

 形状にこだわるとは書いてはみたものの、石への理解が深まっていくと、最終的に行き着くところは、 『石の古さ(時代感)』 であり、 形状としては 『形の無い形』 になってしまいます。この「形がない形」というのは、文字で表現することは非常に難しく、心で見るような抽象石とは別物で、あくまでも形状を楽しむものなのですが、ここでは省略させてもらいます




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