水石展報告・・・・・H

◆景水会水石展
○2008年6月6月28日(土)〜6月30日(月)
○甲府市総合市民会館 2階 展示室・和室

 今回は、景水会主催の水石展の様子をアップします
 今回の展示会は、景水会主催の水石展の開催報告です。初心者からベテランの方までいますので、出品された石や飾りについては玉石混淆なのですが、この展示会の様子をレポートしてみます 



最初は、会場入り口飾りと列席飾りです
 
 最初は、会場入り口飾りと列席飾りです
 
 これは、会場入り口の飾りで、主役は赤松の文人、添えは銅製の見立て井戸枠になっています。赤松自体に季節感はありませんので、井戸枠を添えて涼感を出してあります。裏に額がありますが、これは外す事ができないため、仕方がなくその前に飾ってありますが、やはり現状ではうるさかったので、全体写真は撮ってありません

 主木の赤松については、文人としての古さはまだですが、優しい姿にはなっていますので、水石との相性は悪くありません
   これは添えの井戸枠です。実際は井戸枠ではないと思うのですが、パッと見は井戸枠に見えていますので、面白いですね。見立ての妙とも言えます
 これは会場内入り口の飾りで、シンプルな双幹の山アジサイです。季節感はバッチリですね
 ここから列席飾りになります

 この石は早川産の滝石です。流れ出しは渓谷状になっていて、最後に滝としてその流れが落ちていますが、滝の裾部分の収まりがもう一歩ですので、水盤で綺麗に収まるよう据えればさらに良くなったのではないかと思います

 台座で飾る場合は、滝の裾までカバーするような台を付けると良くなると思います
 この石は早川産の山形石です。景状もなかなか良いですし、石質も川擦れも素晴らしく、なかなか味わいのある石です。相当緻密で硬質な蒼龍らしく、時代感ともあいまってなかなか落ち着きのある風情です
 この石は水無川産の突き出しです。支えの部分がやや弱いので安定感に欠ける嫌いはありますが、見立ては良いのではないかと思いました。突き出しの場合、支え部分と突き出し部分のバランスが大事で、突き出しが長い場合は、薄く突き出しているとか、支えに重みがあるとかのバランスがとれている事です
 この石は奈良井川産の土破です。左からの押しはちょうど良く、その山がスッパリと切れ落ちてから、破面が広がっていき、前面にも微妙な動きがあるという、土破としては申し分のない石で、石質・川擦れとも素晴らしく、飾りも満点です
 この石は只見川産の島形(山型)石です。右からの押しと左への流れのバランスは良く、本来なら白い部分もすでに飴色になるほどの古さが良い味になっています
 この石は串本海岸の島形石です。初めて見る産地の石ですが、質も良く石色も素晴らしい真黒石です。景状的には他に飾り方がありそうにも見えましたが、これが本命なのかもしれません。いずれにせよ、ちょっと興味の湧く石でした
 この石は千仏産の島型石です。写真ではわかりにくいと思いますが、石の勝手は左勝手なのですが、石目は右から左に流れている難しい石です。今回の飾りのように素直に左勝手でも良いのですが、振りを変えながら逆勝手に飾っても面白いかなと感じた石でした
 この石は釜無川産の滝石です。前の滝石と同様滝裾(いわゆる滝壺部分です)の収まりが悪いので、この石も少し埋めて水盤飾りで飾るとさらに良くなる石です。収まりが少しくらい悪い程度であれば、台座を工夫してカバーできるかもしれませんが、ちょっと台座ではカバーできそうにありません
 この石は三倉石です。層状になっている土中石で、珍しい景色になっています。層状の部分を水平になるよう台座が付けられているのも好感が持てます
 この石は奈良井川産の島型石です。勝手も流れも良いですし川擦れも効いています。また、水盤との調和は抜群に良く、なかなか良い飾りだと思います
 この石は安倍川産の島型石です。写真ではわかりにくいのですが、深い入り江を持ち細かい芸を持った石です。ボリュームがありながらも痩せを感じる石で、飾りも良いです
 この石は奈良井川産の土破石です。土破といっても山型とも島型ともとれる石で、主峰と控えのそれぞれの山が綺麗に決まっていて、その間にある破面も美しく決まっています。端正という言葉がピッタリと当てはまるような石です
 この石は早川産の溜まり石です。石の全体の景状・前面の変化・溜まり・川擦れとも良くまとまった洒落た石となっていて、水盤の映りも良いです
 この石は奈良井川産の溜まり石です。形状的には、それほど優れている石とは言えませんが、白磁の水盤にスズ竹製地板との取り合わせにより涼感が演出されています
 この石は早川産の島型石です。水盤が浅めなので、ちょっと石が勝ち気味ではありますが、石自体は勝手や前面の変化も良く、なかなか良い石だと思います
 この石は奈良井川産の段石です。シンプルな二段の段石ですが、全体のまとまりは良く、右裾がややダレ気味ではありますが、それほど気にはなりません
 この石は加茂川産の茅舎石です。軒が綺麗に出ていて古さもありなかなかの石ですが、地板がやや小さくちょっと窮屈になってしまいました。もう少し広めに飾ると、さらに良くなると思います
 この石は佐治川産の溜まり石です。二つの薄溜まりを持つ平石で、石自体はなかなか面白いのですが、地板が良くなく飾り的にはもう一歩といったところです
 この石は奈良井川産の島型石です。間口が10cmにも満たない小品の石ではありますが、左方が突きだしているような非常に変化のある面白い石で、小さいながらも厳しさを感じさせる石です
 この石は鞍馬(本鞍馬です)の土破石です。全体がせり出し状になっていて、破面を囲むよう周囲に連山があり、なかなか洒落た石です。右裾がやや弱いため若干安定感に欠けるきらいはあるものの、軽やかさが効いている面白い石ですね
 この石は薄根川産の山型石です。単峰のシンプルな山ではありますが、左方からの押しと右への流れのバランも良い端正な石となっています。据え位置が中央になってしまっていますので、もう少し左に寄せるとさらに良くなりそうです

ここから、床の間飾りの部です
 ここは、会場中央に設えた仮床の席です
 これは右の席です。富士川産の島型石と軸、添え草(夏ヅタ)の3点飾りとなっています。全体の強弱バランス・景色の創出ともに良く、まとまった良い飾りになっています
・主石 富士川産島型石
・水盤 九輪瑠璃釉長方水盤
・卓  斑竹象眼平卓
・軸  波の図
・添え 夏蔦
 これは主石の富士川産の島型石です。左方に土破を備えた島型で、スクッと立ち上がったような感じの島になっています。 パッと見では、卓がやや広めかなとの印象を受けますが、充分許容範囲内で石・水盤・卓とのバランスは取れています
 これは波の掛け軸です。画題としては静波という穏やかな波の図が多いのですが、これは珍しくやや荒めで少し厳しい波風景になっていて、秋冬の図と言えるでしょう。主石がスクッと立ち上がったような石ですので、これくらい荒い波の方が石との相性が良さそうに思えて、ちょうど良く合っていると思います
 こちらは左の席です。佐治川の溜まり石と軸、添え草(紅チガヤ)の3点飾りとなっています。こちらの飾りも全体の強弱バランス・景色の創出ともに良くまとまっています。特に白鷺の絵が良く効いていて、飾り全体に静かな中に躍動感が出た良い飾りになっています。ただ、やや軸の位置が高く、もう少し下げて掛けた方が良かったのではとも思いました

・主石 佐治川産溜まり石
・水盤 均釉楕円水盤
・卓  真塗り地板
・軸  白鷺
・添え 紅チガヤ
 これは主石の佐治川産の溜まり石です。平溜まりの面白い石なのですが、写真で見てもわかるとおり前面の真ん中部分が前に突きだしていて、水盤に据えるのが非常に難しい石となっています。その難しい石を上手に据えてあり、水盤の色も均釉で清涼感もあり、真塗りの地板とも非常にマッチしており、なかなか良い主飾りだと思います
 この軸は、白鷺の軸で片足を持ち上げながら首を捻っている図で、静かな動きも感じられ今にも水の中にいる魚を捕らえようとしている動きが良く出ています。平溜まりの石との相性は抜群に良いですね。特に、今回の席においては、左に置かれた主飾りの溜まりを見つめているような雰囲気にもなり、良くマッチしていると思います
 ここから和室の飾りになります。この紅アシの根洗いは、和室入り口にある下駄箱の上に飾られたもので、季節感とともに清涼感もあり、なかなか良いものです
 この石は和室の玄関から上がったところに据えられている富士川産の茅舎石です。川擦れの良い茅舎ではありますが、石英を咬んだ白い部分がちょっと気になります。また、だるま卓と合わせてありますが、たとえ薄い平卓であっても卓ですと、家が浮いた感じになってしまいますので、茅舎についてはできるだけ地板とあわせた方が良いように思います
 この飾りは、本床がある和室に一角に飾られたものです。石は知内川産(千軒石)の島型石で、ジャグレが良く変化の多いとなっています。左側の控えがちょっと強めに感じてしまいますので、もう少し沈めるか奥に振って左を弱くしてやると、さらに良くなるように思います。ちなみに、この石は盆栽で有名な小口さんが所有していた石です
 この飾りは本床の飾りになります。釜無川産の山型石を主石にした飾りとなっています

・主石 釜無川産石
・水盤 志那埜庵緑釉長方水盤
・卓  紫檀平卓
・軸  跳鮎の図
・添え 蕗
 これは主飾り部分です。渋く落ち着いた感じになっています
 この石が主石です。この写真ではわかりにくいと思いますので、  上から撮った写真  を添付しますが、奥には滝が流れ落ち、その後は渓流となって水流が落ちています。やや水盤が窮屈ではありますが、まあ許容範囲内には収まっています
 これは跳ね鮎が描かれている軸です。主石が滝と渓流を持つ山型石になっていますので、鮎との相性もちょうど良く、季節感も清涼感も良く出ています
 こちらの飾りは琵琶床の飾りになります。主石は笛吹川産の山型石となっていて、全体的に落ち着いた渋い感じの席となっています

 今回、忙しくてキチンと写真を撮るのを忘れてしまい、人物が写り込んだ写真しかありませんが、ご了承ください

・主石 笛吹川産石
・水盤 志那埜庵緑釉短冊水盤
・卓  真塗り平卓
・軸  群雁の図
・添え ヤブレガサ
 こちらが主飾りになります。笛吹川産の山型石を志那埜庵の緑釉短冊水盤に据え、平卓と取り合わせています。写真で見てもわかるとおり川擦れが非常に効いていて、控えのある遠山になっていて景状は抜群ですね
 こちらが軸になります。正確には赤く染まった空に群雁が飛んでいますので、画題は朝焼けの帰雁図といったところでしょうか。ただ、雁としては季節が合ってきませんので、川鵜とかに見立てて掛けているのだろうと思います

最後に添えに使われた草でも・・・
今回の展示会で使われた添え草の一部をピックアップしてみました
 これらの草物は、コーナー飾りに使われた物や、床の間の飾りの添え草として使われた物、列席の添え草として使われた物です。紹介したものは、初夏の飾りらしく、涼しげな感じを現す山野草が多いのですが、実際には、このような季節の物ばかりではなく、いろいろなバリエーションの山野草が会場を飾っています





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