水石展報告・・・・・H

◆景水会水石展
○2007年6月2日(土)〜6月4日(月)
○甲府市総合市民会館 2階 展示室・和室

 今回は、景水会主催の水石展の様子をアップします
 今回の展示会は、景水会主催の水石展の開催報告です。初心者からベテランの方までいますので、出品された石や飾りについては玉石混淆なのですが、この展示会の様子をレポートしてみます 



最初は、会場入り口飾りと列席飾りです
 
 これは、会場入り口の飾りです
 主役は、ホソイの根洗いで、添えはカエルの添配を添えた2点飾りで、席題は「梅雨入り」となっています
   これが主草のホソイです。水石に一番似合う草はホソイであると言っても過言ではないくらいこの草は水石に似合いますね。とにかく、茎だけというシンプルな姿が、水石の単純さとの取り合わせは最高です
 夏には、涼感も抜群で、夏飾りには欠かすことのできない草で、フトイと並んで一番好きな草です
 これは、会場内の入り口にしつらえた飾りで、ハゼの双幹です。ひょっろとした細幹が、夏場には涼しげで良いですね
 ここから、一般石の列席飾りになります
 これは姫川産の山型石です。写真ではわかりにくいのですが、石に厚みがなく少し薄めの石で、それ自体は、それほど大きな問題ではないのですが、左稜線の形状が少し膨らみ気味でもう一歩という感じですが、こればかりは仕方がないですね
 これは釜無川の滝石です。すっと上方に伸びた岩の間から豪快な滝が流れ落ちている石で、主峰もまあまあ良いですし、滝の位置も良く、ほとんど欠点の見あたらない石ではありますが、反面、ちょっとシンプルすぎて魅力に欠ける嫌いもありますが、これだけ豪快な滝石は、なかなか珍しく、水盤にキチンと据えますと、さらに映える石になると思います
 これは天竜川産の島型石です。川擦れの良い立ち系の島型石で、入り江はありませんが、せり出し気味の岩礁があり、ちょっと変わった感じの島型石になっています。水盤の映りも良く、丁寧な飾りになっています
 これは奈良井川産の土破石です。写真ではわかりにくいと思いますが、かなり古い蟹真黒で、川擦れが大変良いだけでなく、浅い銅盤と卓との取り合わせも良く、優等生的な石と飾りになっています
 これは富士川産の島型石で、地元では蒼竜と呼ばれている大変緻密で硬質な石です。写真ではわからないと思いますが、間口が45cmくらいもある、かなり大型の石です。もちろん、ただ大きいばかりでなく、変化もありますしその変化具合も良く纏まりがあり、川擦れが良いのとも相まって、見事な迫力を醸し出している石です。石に白い線が入っているので、ちょっとうるさいですが、もう少し時代がのれば、わからなくなっていく事でしょう
 これは桂川石です。桂川石と言っても、実際は溶岩の川流れです。溶岩と言いましてもピンからキリまであり、気泡がたくさん交じった良く見る軽いものから、普通の石と見間違うような緻密なものまであります。この石は、それほど良い質ではありませんが、景状が面白いので、楽しみとして飾るのでは大丈夫でしょう
 かなり細長い石で、磯型か島型に見えますが、宝舟だそうです。かなり水盤が窮屈ですね
 これは奈良井川の山型石です。主峰から伸びる右稜線が少し膨らみ気味になっていますので、もう少し右側を沈めたいところなのですが、沈めきれていません。石質はそれほど良くないのですが、このように飾りますと、何となく格好良くなるはずです
 これは佐治川の島型石です。石全体の構えも良いですし、山有り、入り江有り、溜まり有り、岩礁有りと、なかなか多芸で川擦れもあり、良い石です。佐治川独特の白い線が、ちょっと邪魔と言えば邪魔に感じてしまいますが、欠点と言えるほどではなく、なかなかの良い石です
 これは加茂川の巣立ち真黒石です。巣立ち真黒で時代がのった古い石で、主峰側には程良いボリュームもあって、石の流れは良いのですが、手前に伸びてくる低く平らな部分が良いような悪いような感じを受けてしまい、いっそのことこの部分を全部埋めてしまうか、逆に、もう少し浮かせて据えた方が、見付け動きと変化が出そうになり良くなるだろうと思ったのですが、沈めきれなかったり、浮かせて据え直してみても、いまいちパッとしなくて、やはり現状くらいで見る石でしょう
 これは佐治川産の島型(岩型)石です。細かい芸の出た石肌は素晴らしく、何とも言えない風情があります。主峰がやや起き気味なので、水盤にでも飾れば、さらに良くなる石でしょう
 これは奈良井川の山型石です。立ち系の山型石で、川擦れは抜群で、ちょっと主峰が左にかぶり気味ではありますが、まあ、こんなものでしょうか。深めの水盤に据えていますので、もう少し石の丈があった方が良くなりそうですが、まあ、こんなものでしょう
 これは釜無川の滝石です。写真ではわかりにくいと思いますが、中央右側は深く掘られていて、その奥に滝が見え隠れしています。石全体の形状もまあまあ良いですし、深めの谷があるのも好ましく、また、滝の位置も良く、すべての点で纏まりのある、なかなか良い石です。白磁の水盤に地板で飾っていますが、ボリュームのある石ですので、このような地板飾りにも似合う形状です
 これは梓川の溜まり石です。変化が付きにくい平溜まりでありながらも、見付けはグッと力強く抉れていて、落ち口も良い位置にあり、なかなか見所のある石です。ただ溜まっているだけという平凡な形になりやすいのが平溜まりですが、溜まりの位置も良いですし、これくらい見所があると、かなり良い石になってきます。呂均釉の水盤に真塗りの地板との取り合わせも良く、映える飾りとなっています
 これは産地不明の菊花石です。根尾の菊花石かもしれませんが、母岩も花もやけに硬質な石で、根尾産ではないように思えますが、どうなのでしょうか? 花は大輪のサバで、白の花の部分がすべて欠落してしまっている菊花石かもしれません。菊花石というと、普通は、豪華・華麗・可憐という感じなのですが、この石は、どちらかというと渋い感じのする菊花石です
 これは伊豆の赤石と呼ばれている石です。赤石という名はついていますが、実際は硬質な溶岩であり、ほとんどが海揚がりの石ですので、変化と海擦れがあるのが特徴になっています。時代がついている石ですので、かなり黒っぽくなってしまい、赤みを感じる部分は少なくなってしまっています。この石もご多分に漏れず、変化のある石でかなり独特な形状の島型石となっています。水盤に据えるのは難しい石なのですが、ピタッと良い位置に収まっています
 これは奈良井川の山型真黒石です。山型でもボリュームのある山型石で、若干左の稜線の流れに惜しいところはありますが、本真黒の渋い色調とあいまって、形状的にはシンプルではありますが、なかなか見応えのある石です。持ち主は、水盤の緑釉が派手過ぎるのではと心配していたのですが、けっしてそのような事はなく、むしろ、艶やかさがある感じを受け、けっして悪いわけではありません(この理由については、そのうちコラムにでも書くようにします)
 ここから小品席です

 これは員弁川の山型石です。一見すると山型とも島型ともとれる石ですが、まあ、山型石の範疇に入ってくる石でしょう。屹立した丈のある石で、山頂部が破面になっていて、綺麗な山型にはなっていませんが、特徴のある形状になっています。石・砂・水盤・卓とすべてが茶色になっていますが、どのように感じられるでしょうか?
 これは富士川産の島型石です。石質は甘めの青石(蓬石)なのですが、景状がとても良いので楽しむことができます。小さい石でありながらも、程良い入り江を持っていて、この部分が石全体に良く効いていて、この部分があるから石も締まった感じに見えています
 これは能登海岸産の抽象石です。抽象石とは石肌・川擦れ・形状・模様などのように、山水景状といった具体的な風景でなく、心で見たり感じたりする石ですので、ある意味、かなり高い美意識を持っていないと、拾うことができませんし、飾ることもできない石です。はたして、この石が抽象石の範疇にあるか否か?
 これは釜無川産の滝石です。写真ではちょっとわかりにくいのですが、滝の位置や落ち方も良いですし、全体の景状もまあまあ良く、小品ながらなかなか良い滝石です
 これは富士川産の山型石です。この石も、少し質の甘い青石(蓬石)で、景状はまあまあと言ったところです。二つ前の富士川石は、ちょっとした変化が効いていて、なかなか良い石でしたが、この石は、それほど特徴のある感じではないのが惜しいですね

ここから、床の間飾りの部です
 最初は、会場正面の仮床の様子です。本来なら、右側の席には右勝手の石を飾り、左側には左勝手の石を飾る様にして、コーナーを一体化させるのですが、今回は右の飾りが床の中央に石を置く飾りとなっていますので、ちょっと不安定になっていますが、まあ、大丈夫の範疇でしょう
 この席は、会場内に作られた仮床の右側席です
 この飾りは、奈良井川産の紋様(人物)石を主役にし、睡蓮の軸をあわせた2点飾りになっています。詳細な解説については、5月の研修会に書いてありますので参考にしてください
・主石 奈良井川石(高さ約35cm)
・卓  紫檀曲げ卓
・軸  睡蓮に水馬
 これは主石です。詳しい解説は、5月の研修会を参考にしてください
 これは軸です。睡蓮に水馬の色紙で、色紙掛けによって掛けられています。画題自体は今の時期向きで、ちょうど良い感じです
 この席は、会場内に作られた仮床の左側席です
 この飾りは、梓川産の土破石を主役にし、添えはソビ、軸は虹の図を取り合わせた3点飾りです。川擦れの良い梓川産の土破石を薄手の銅盤に据え、品の良い平卓と取り合わせてあり、軸には虹の軸という事で、主飾り部分だけでも品が良く素晴らしいのですが、虹の軸によって季節感が出されているとともに、添えのソビにより、席全体の柔らかさも醸し出されていて、なんともいえず落ち着いた良い飾りになっています。石色が少し紫が掛かった石で、質的には真黒から比べれば多少は落ちてしまいますが、それだけで席全体の格を落としているわけではなく、素晴らしい飾りです
・主石 梓川石(間口約27cm)
・水盤 長方撫で角銅盤
・卓  紫檀平卓
・軸  虹の図 
・添え ソビ
 これは主石です。梓川産の良く擦れた土破石で、色は紫が掛かっていてそれほど良くありませんが、これだけの素晴らしい土破であれば、何も問題はないでしょう。特に、破面の先端がほんのわずかに上がっていて、破面を引き締めているところや、砂との見付け部分の小変化とまろやかさは抜群で、この2点がもの凄く効いている良い石です
 これは軸です。虹の画題という事で、まだ曇り空に虹が浮かび上がっている絵となっています。そろそろ梅雨入りになりますので、雨とか虹の軸の使い頃になってきました。季節の先取りが大事ですから、時期的にはちょうど良いですね。主飾りが良いので、雨みたいな少しジメジメしたイメージのものよりも、虹のように明るいイメージの軸の方が、この場合良かったのではないかと思います
 この席は、和室内にある本床の飾りです
 この飾りは、富士川産の島型石を主役にし、雨の図の軸と茅舎を添えにした3点飾りとなっています。床に対してやや大きめの石ではありますが、島にあるひなびた小さな漁村を連想させる席となっていて、草木の緑がないので、やや堅さは感じてしまいますが、逆に侘びた風情は増し、趣のある飾りが演出されています
・主石 富士川石(間口約40cm)
・水盤 隅入り長方水盤
・卓  紫檀透かし卓
・軸  雨の図
・添え 茅舎(陶器製)
 これは主石です。富士川でも硬質な蒼竜石と呼ばれている石で、ジャクレができるのが特色の石です。この石は、石全体の変化も良く、島型石としてはなかなかの石でしょう。岬と入り江の出入り具合も良く、全体のバランスもかなり優れています。やや左部分が強いきらいがありますので、もう少し左を沈める事ができれば、さらに良くなると思いました。また、席飾りですから色彩の配置にも気を配りたいところですが、軸・石・水盤の三者が、やや緑系統で統一されてしまっているのが、ちょっと気になりました。もちろん、これがダメという事ではなく、水盤の色が変更できれば、さらに良くなる事と思います
 これは軸で雨の図です。ちょっと強めの雨でしょうか。雨を通して見える木々が、かなり霞んで見えています。このような雨の軸は、梅雨時と秋霖(しゅうりん)時(秋雨)に使える軸で、どのような景状の石にも会う便利な軸の一つです。ただ、この軸は、霞みながらも木々が見えていますので、盆栽には使う事ができませんが、石には良く合う画題です
 これは添えの茅舎です。陶器製の茅舎で、写真からもわかるとおり出来は抜群です。これくらい良い添配ですと、あまり良くない石と取り合わせてしまいますと、石が負けてしまう場合がありますが、今回の飾りならちょうど良いですね。大きさも脇床に飾るのを考えると、ちょうど良い感じで、茅舎一軒だけですが、長閑な漁村を連想させ、なんとも言えず良い感じです
 この席は、和室内にある琵琶床の飾りです
 この飾りは、釜無川産の滝石を主役にし、軸には鮎の図、添えは雪柳の3点飾りとなっています。琵琶床飾りにおいては、使う事ができる道具や石が限定されてしまいますので、いざ飾ろうとすると、なかなか難しいのです。今回は滝石に鮎で渓流を連想させながら、琵琶床では斜幹の雪柳でサラリとそれらを受け、個々の一つ一つも素晴らしいのですが、全体としても景色感・力感・色彩的なバランスも優れていて、非の打ち所もなく、文句なしの飾りですね
・主石 釜無川石(高さ約28cm)
・水盤 黒泥均釉楕円水盤
・卓  紫檀天拝卓(寿山作)
・軸  鮎の図(川崎小虎作)
・添え 雪柳
 これは主石です。釜無川産の滝石で、写真ではわかりにくいと思いますが、全体の形状・バランスとも良くだけでなく、横抜けがあったり、深く穿たれた谷部から滝が見え隠れしながら落ちる様などは、まさに絶品とも言えるほど素晴らしい石で、滝石の中でも十指に入るのではと思われる名石です
 これは少し右側からさつえいしたものです。少し影になっている部分は左に抜けていて、深い渓谷状になっています。その渓谷状の部分から滝が流れ落ちています。普通の滝は、前面に流れ落ちているのがほとんどですが、このように隠れながら落ちているのは陰の滝となり、陰の滝自体が珍しいもので、これだけでも、まず少ない石でしょう
 これは軸です。鮎漁は6月が解禁になり、季節的にも良いですし、主役が滝石で渓流を連想させる石ですので景色的にもちょうど良い感じになっています

最後に添えに使われた草でも・・・
今回の展示会で使われた添え草の一部をピックアップしてみました
 これらの草物は、コーナー飾りに使われた物や、床の間の飾りの添え草として使われた物、列席の添え草として使われた物です。紹介したものは、初夏の飾りらしく、涼しげな感じを現す山野草が多いのですが、実際には、このような季節の物ばかりではなく、いろいろなバリエーションの山野草が会場を飾っています





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