水石展報告・・・・・D

◆景水会水石展
○2005年5月28日(土)〜5月30日(月)
○甲府市総合市民会館 2階 展示室・和室

 今回は、景水会主催の水石展の様子をアップします
 今回の展示会は、私が所属している景水会主催の水石展です。初心者からベテランの方までいますので、出品された石や飾りは玉石混淆なのですが、出品することにより自分自身の勉強にもなりますし、他人の石や飾り方を研究する事によっても自己の研鑚になりますので、このような場を有効に活用したいものです
 この水石展をレポートをしてみます



最初は、会場入り口飾りと列席飾りです
 
 これは、会場入り口の飾りです
 金明竹の一点飾りです。ちょっとボリューム感に欠けそうな嫌いはありますが、たまにはこのようなシンプルな飾りも良いものです
   主役は金明竹の根洗いの単飾りで、洒落た陶板に飾っています。このような単飾り時に注意したいのは、主役を置く位置で、上の写真のように、どんなに流れがあろうとも、主役は中央に置くようにします
 この石は、富士川石の紋様石で、黒の母岩に白で小鳥(鶏)の文様が浮き出ている紋様石です。母岩の色も紋様の色も良く、石の型もこの石にあっているように思え、鳥が子育てをしているこの時期には、ピッタリの紋様石です
 卓も小振りながら、なかなか品の良い甲玉の卓なのですが、ちょっと丈があるためなのか、少し違和感を感じてしまいます。できれば、もう少し丈の低い卓か飾ると、さらに映えるように思いました
 この石は、奈良井川の溜まり石です。石に対して溜まりも大きく迫力のある石となっていて、なかなか面白い石でした
 この石は、三陸海岸の山型石です。屹立とした丈の高い山型石で、木瓜式の水盤に据えられ、竹の地板も清涼感があり良いように思います
 この石は、奈良井川の小品高溜まり石です。小品ながらも、石肌・川擦れも良く、形状も非常に優れた良石です
 この石は、釜無川の茅舎石です。「庇の出」「軒の作り」「屋根」とも、まあまあの石で、それほど侘びた風情を感じさせるような石ではありませんが、観賞できる範疇です。ただ、卓がやはり気になってしまいますので、茅舎には地板が一番合いますね
 この石は三陸海岸の山形石です。石全体の形状・主峰と副峰のバランス・見付け線も整っていて、石肌も川擦れとも良く、なんとも良い石です。惜しむらくは、砂との見付け線に若干の凸凹も見られますが、この石の良さを妨げるものとはなっていません。卓も名卓を使っていて、小品ながらも他を圧するような迫力すら感じさせる石でした。飾りも文句なしですね
 この石は、富士川の溜まり石です。茶色の母岩の真ん中に大きく抉られたように溜まりが穿たれていて、なんとも不思議な石でした。飾りは少し甘いのですが、石は文人調の優れた石で、面白い石です
 この石は、笛吹川の支流で採石された甲州鞍馬石(硬質花崗岩)です。小振りながらも、上手い具合に石が削げて、良好な景色(溜まり)をうみ出しています。本来ならば水盤飾りで飾りたい石なのですが、このような台座飾りでも、展示会ではかわっていて面白いものですね。惜しむらくは石が若いのと、地板の色には一考を要します
 この石は、甲州荒川の山型石です
 この石は長野県の伊那谷で採石された土中石です。一般的に考えると、土中石は石肌が荒く、姿石としては、あまり似合わないのではと思っているのですが、この石は、そこそこ形も良く、人物を連想させる石となっています
 まろやかさがないので、やはり男性人物にしか見ず、侘び寂びを連想させるには至りませんが、姿石としては充分合格でしょう
 この石は八海山石です。みてのとおり一見するだけで底切りしてあることがわかる石で、底切り自体を悪とは考えていないのですが、やはり、少しでもわからないように飾るよう心がけたいものです。基本的に水盤が小さく浅すぎるのが、飾りの大きな欠点となっており、これでは許容範囲を越えていて、ちょっと見苦しく感じてしまいます。それと、副峰が高さ・ボリュームとも大きすぎるのがこの石の欠点になっていますので、主峰は上げ気味に、副峰を沈め気味にし、大きく深い水盤に飾りたいですね
 この石は奈良井川の山型石です。石肌も良く、川擦れも良く、形状的にも動きと変化があり、なかなか私好みの石でもあります。許容範囲内ではありますが、もう少し大きめの卓を合わせると、なかなか見ごたえのある飾りになりそうです
 この石は、楠川の山型石です。楠川は紋様石(梅花・梅林)で有名な川で、普通の水石としては質的に劣ってはしまいますが、景状も良く充分楽しめる石です
 この石は瀬田川の山型石です。わが会では珍しく台座での展示となっています。石肌・川擦れとも良いし、時代感もあるので、そこそこ見ごたえのある石ですが、ちょっと茫洋としている感は否めません。これは、お気づきのとおり、主峰から左に下りてくる稜線に問題があり、この線が膨らんでいることが、この石の一番の欠点になっています。この欠点をカバーするためには、左裾側をできるだけ沈めて、この欠点を少しでもなくしていくことが大事なのですが、このように台座飾りでは、カバーしようにもできませんので、このような欠点を持っている石こそ、水盤で欠点をカバーするように飾って楽しみたいもので、水石人の腕(技術)が問われるとともに、楽しみの一つでもあると思います
この石は富士川の溜まり石です。写真ではわかりにくいかもしれませんが、凸凹した石肌をしていて、ちょっとかわった石ではありますが、形状的にはなかなか良い物を持っていると感じました。ただ、水盤・卓ともちょっと窮屈さを感じますので、それぞれ一回りくらい大きめのものを使って、広々と飾れば、また違う雰囲気になったことと思います
 この石は、富士川の高溜まり石です。画像側悪くてちょっと見にくいのですが、川擦れが少なく、石の荒さが目に付いてしまいますが、石姿としてはまあまあでしょうか
 この石は富士川の溜まり石です。石全面がジャクレているような感じのちょっと変わった質の石ですが、石姿・溜まりともまあまあ感じの良い石となっています。この石の特徴は、主峰のところに「平らな壁」を持っていることでしょうか。これは、石の目(節理)があるものには、良く生じる現象なのですが、このようにどこかが壁になっているものは、この壁を正面から見るようにするということが必要です。この壁は、どうしても欠点になってしまいますので、欠点を補うために正面から見るようにすると、壁の平面をそれほど気にすることなく観賞できるからです
 この石は、釜無川の溜まり石です。持ち込みの古い石で、相当な味がついていたり、川擦れも良いのは好感が持てますが、現状では主峰が左によれているのが、どうしても気になってしまいますね。山があるものは、やはり主峰の形をキチンと決めないと、石全体の印象が悪くなってしまいますので、主峰の形と左右に広がる稜線には十分注意しながら石を据えたいものです
 取り合わせでいうと、ゴツイ卓もちょっと気になりますね。銅盤も変わった物を使っていますが、これは韓国産の銅盤です
 これは釜無川の溜まり石です。溜まりというよりも、不思議な景を持った遠山抱湖といった感じでしょうか。左右に峻険な主峰と副峰を持ち、その間に程好い溜まり(湖)を持つといった景色です。ありそうでいて、今まで見かけることのない景色で、たいへん面白い石だと感じました
 これは笛川の支流で採石された平溜まり石です。硬質な花崗岩で京都の鞍馬石と同じ質の石で、削げて溜まり状になった物です。小品に同じ質のものが展示されていましたが、その石の時代が付いたものがこの石です。形状・時代とも良く、溜まり石としては、なかなかの良石だと思っています
 惜しむらくは、水盤が少し深いかなとは思うのですが、さりとて観賞の妨げになるほどではなく、これでも十分許容範囲内です
 これは富士川石の平溜まり石です。石の構え・見付けの線は抜群で、溜まりの位置も最高に素晴らしい位置にあり、小品ながらもなかなか出会う事もない素晴らしい石ですね。水盤との調和も良くとれているのですが、惜しむらくは、流し込みの水盤使いというところでしょうか
 この石は、桂川の高溜まり石です。石姿もせり出し状になっていて、なかなか洒落た感じの姿をしていて、溜まりも程好い位置にあり、なかなか好感の持てる石です。私の好きなタイプの一つですね
 この石は、甲州荒川石の溜まり石です、底切りをした石らしいのですが、残念な事に右側にあったと思われる溜まりまでも切ってしまった様で、不思議な景色になっています(笑)。そうはいっても、底を切ることにより、石もほど良い薄さが出てきたり、「構え」も良くなった事だろうし、溜まりの位置も良くなったのでしょうが、底切りにより一格落ちてしまうのは仕方がありません

ここから、床の間飾りの部です
 最初は、会場正面の仮床の右側になります
 この飾りは、会場正面右の床飾りです。佐治川の岩型石を織部の水盤に据え、軸は吊り橋の図、添え草にはシダ(種不明)が取り合わせてあります。この飾りは「岩型石(屏風岩)」+「吊り橋」+「シダ」を取り合わせて、断崖を持つ渓谷を実見させる飾りになっていて、『景色』と『高度感』から涼感を感じさせる珍しい飾りになっています
 これは主石の佐治川石です。平板な真黒のジャクレ石で、普通なら、それほど見向きもされないような石だろうとは思いますが、この飾りのように屏風岩みたいな景色を創出するのには抜群に効果ある石ですね。私なら、このような平板な石だと飾る機会も無いだろうと思いますが、これこそ、飾りの面白さではないかと思います
 こちらは会場正面仮床の左側になります
 この飾りは、梓川の溜まり石を白磁の水盤に据え、軸はツバメの図、添え草にはミズトクサが取り合わせてあります。溜まり石・白磁水盤・ツバメ・ミズトクサと涼しげな取り合わせで席が構成されている事がわかり、素材の取り合わせとしては非常に良く、涼しさを感じる席となっています
 これは主石の梓川溜まり石です。梓川石は石質から考えても、このような溜まりができやすい石で、かなり良い石が採石されている事で、こちらでは有名な河川です。この石も、全体の石姿も良く、落ち口・稜線等も良く、なかなかの良石です。惜しいのは、据え方でしょうか・・・。写真でみてもわかるかと思いますが、石全体が少し後ろに反り気味に据えられてしまっています。恐らくは、溜まり自身を良く見せるために、この据え位置にしてあるとは思うのですが、水が溜まる部分が小さくなっても、石全体の姿が悪くなってしまうのは、やはり良くありません。この石は、できるだけ後ろを上げ、手前を沈めて飾った方が、より一層良くなるのではないかと思いました
 これは、和室の本床の飾りで、既出のとおり私が飾ったものです。床の間の大きさに対して、主役が少し大きめな感じがしますが、床の間全体の大きさから考えると、まあ、これくらいでも十分かなと考えています。主石の溜まりを深めの水盤に据え、平卓と取り合わせてあります。軸には「睡蓮」を用いて、添えには苫船を取り合わせました
 既に述べてあるとおり、厳しい条件をつけられた上での飾りですから、かなり苦労しました(笑)。本床における取り合わせを考えてみると、やはり緑の物(植物)が欲しいと思わせますね。軸に植物(睡蓮)を用いてはいるものの、やはり絵でしかなく、本物の緑(植物)の持つ柔らかさや色彩には勝てませんので、この飾りはこの飾りで、少し渋めの飾りにはなっていると思うのですが、ちょっと色彩的な明るさが欲しい事と、すべてが静の組み合わせ(石・睡蓮・苫船)になってしまっているのが、取り合わせに一考を要する感じでしょうか
 これが主石の梓川石です。写真ではわかりにくいのですが、石に動きもあり溜まり部分は小さくても景の大きな飾り甲斐のある石です
 こちらは、添えの苫船です
 これは、和室の床の間飾り(琵琶床)のです。奈良井川の山型石を主役とした3点飾りで、主役には真黒の山・軸にツバメ・添えは三幹のハゼが取り合わせられています。主石には銅盤と真塗り天板透かしの中卓が取り合わされ、琵琶床との高さの調整もキチンとなされ、格調あるものになっているように思われます
 軸のツバメで季節感を現し、添えにはハゼの三幹が合わせられ、景色も良く創出されています。静(石・添え)と動(ツバメ)も上手に組み合わせてあり、なかなかの飾りではないでしょうか
これは、主石の奈良井川山型石です。左からの主稜線の押しも程良く、右稜線の流れ具合も良く、シンプルな山型ではあるものの、バランスの優れた石です
 これは、添えのハゼです。痩せ作りのため、細身で優しさを感じながらもの、時代感もあり良い添えとなっています

最後に添えに使われた草でも・・・
今回の展示会で使われた添え草の一部をピックアップしてみました
 これらの草物は、コーナー飾りに使われた物や、床の間の飾りの添え草として使われた物、列席の添え草として使われた物です。紹介したものは、秋飾りらしく、秋の花や紅葉物などの季節を現わすような山野草が多いのですが、実際には、このような季節の物ばかりではなく、いろいろなバリエーションの山野草が会場を飾っています



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