水石展報告・・・・・C

◆甲府市文化祭(文化協会水石部水石展)
○2004年10月29日(金)〜10月31日(日)
○甲府市総合市民会館 2階 展示室

 今回は、甲府市文化協会主催の水石展の様子をアップします
 今回の展示会は、市内にあり文化協会に加盟している水石愛好家が中心となっている水石展です。初心者からベテランの方までいますので、出品された石や飾りについては玉石混淆なのですが、愛石家同士の交流や情報交換などにも役立っています
 景水会牛飼いが会場設営や運営を行なっているので、私も設営や賛助出品を行なっていますので、今回は、この水石展をレポートをしてみます



最初は、会場入り口飾りと列席飾りです
 
これは、会場入り口の飾りです
掲示板でも書いたとおり、最初は五葉松の文人を主木に飾っていたのですが、最終的にこの2点飾りになりました







  主役は糸ススキで、添えは古銅の鹿です。主役の勝手があまり美しくないのですが、秋の展示会においては、このようなものもなかなか良いものです
「糸ススキ」に「鹿」と、秋の季節がダブって、ちょっとしつこいかなとも感じるのですが、添えの鹿については、拡大画像を見るとわかるのですが、野生の鹿ではなく飼育されている鹿ですので、それほど季節感を感じさせるほどの物ではないので、まあ大丈夫でしょう
この石は梓川の山型石です。写真ではわかりにくいのですが、比較的厚み(奥行き)が少なく、スリムな立ち石型の山型(岩型でもok)で、石全体の見付はまあまあ良いのですが、山頂部から左の稜線部分にもう少し変化があると、さらに良くなりそうです。奥行きのある楕円水盤の中心に据えられているのが、ちょっと惜しいですね。動きのある石ですから、もう少し右に据えないと・・・
この石は釜無川の滝石です。写真で見てもわかるように、太く豪快に流れ落ちる豪壮な滝ですね。滝の落ち口も綺麗ですし、滝の位置も良いし、もう少し丈があれば・・・と、思わせる石でした
この石は球磨川の岩型(海岸の岩型・島型)石です。2つの深い入り江を持つ石で、最奥にある岩壁が一番ボリュームがある、いわゆる逆勝手の石で、これを少し斜に構えて据えてあります。石質は石灰岩系の新らしい石なので、この部分が少し目立ってしまいますが、薄い水盤(銅盤)とも相まって、飾りはなかなかお洒落なものになっています
この石は八海山の溜まり石です。溜まりの位置・大きさ・落ち口とも良く、特に砂との見付け線は、抜群の景色を誇る、なかなかの良石です。写真ではわかりにくいのですが、左側の勝手部分に、ちょっとだけ難があり、これが解消されれば名石になりそうなくらいの石でした
これは赤石の溜まり石です。蔵者曰く「佐渡の赤玉だと思うのですが・・・」でしたが、佐渡の赤玉石ではなさそうです。この赤石を均釉の水盤に据え、塗りの地板に置いています。石の良し悪しはともかくとしても、取り合わせとしては、お見事ですね。それぞれが主張することなく、見事に調和されています
この石は山型(島型)の幸太郎石です。いつ採石されたのかもわからないくらい古そうな石で、主峰左のコブ状の部分が気にはなりますが、それ以外の形状・質・石芸・擦れ等はなかなかのものがあり、薄い古銅の卍透かし銅盤との調和も、ちょっと小さめかなとも思いますが、十分許容範囲内で調和していると思います
この石は佐治川の山型(島型)です。それほど悪い石ではないのですが、飾りでだいぶ損をしている感じがします。この石は底切りなのですが、砂にほとんど埋めることなく、ただ砂の上に置かれているようい見えますし、何よりも花台がでかくてゴツ過ぎますね。石の据え位置もほぼ真ん中ですし、飾りの面から言うと、まったく良いところが見つからず、ちょっと残念でした
この石は安部川の滝石です。石の大きさに比べ滝が少し細いようにも感じられますが、その分、スケールの大きさも感じられますし、石全体の形としてはまずまずです。ただ、主峰から正面に強い張り出しがあり、この部分がちょっと残念ですが、これは、石を少し右に振ってやることにより多少は解消できそうに思えました
この石は魚野川の山型石です。石は川擦れの良い真黒石で、砂との見付け線も単調にならずに良い所に芸を持ち、この芸が、この石をより一層引き立たせています。ただ、主峰からの稜線は、右からの押しが、この据え方ではちょっと弱いですので、左側を埋めてやることにより、この押しが強くなりバランスが良くなると思います
それより、驚いたのは水盤です。恐らく年窯の呂均釉水盤で、薄い外縁・腰紐・隅入りと、なかなか良い水盤でした
この石は富士川の土中石の川流れ石です。なんとも不思議な景で、右側の白い部分がなければ、冠雪の富士山にも見えないこともないのですが、現状ではちょっと無理がありそうです。しかし、なんとなく景として見えてしまうようなちょっと不思議な石でした
この石は安部川の滝石です。滝としては位置も良く、谷もありそこそこ良いのですが、一番肝心の主峰がちょっと乱れているのが惜しいですね
道具の取り合わせについては、薄くてスッキリとした水盤をスッキリとした平卓と取り合わせていますが、これだと水盤がちょっと負けているように思えます。この大きさであれば、もう少し深い水盤か、同じ深さならもう少し広いものにしたかったところです
この石は岩手の山型赤石です。非常に川擦れの効いた単峰で、秋の山を連想させるこの季節には、もってこいの石かもしれません。平卓の足が品の良い曲線(反り)を描いているのが、この飾りの上品さを生み出しているように思います
この石は奈良井の山型石です。底切りではありますが、主峰からの見付線も素晴らしく、主峰と副峰の位置もバランスがとれている、なかなかの石だと思いました
この石は安部川の滝石です。右かわの綺麗な押しに加え、主峰から続く変化のある左稜線、正面にも良い芸を持ち、見応えのある石なのですが、主峰の山頂部が綺麗に決まっていないことと、滝にもう少し谷が欲しかった感じです。まあ、多少の欠点はあるものの、まあまあのレベルの石でした
この飾りで注意したいのは、花台の色です。石の色が紫系統(紫晃石)なのに、同じ色味の花台を使っていて、せっかくの石色が、まったく引き立っていません。花台で、ちょっと損をしている飾りです
この石は姫川の山型石です。主峰と副峰の大きさ・高低のバランスが非常に良く、さらには、その間にある谷間も芸を備え、勝手側の右からの押しも綺麗で、おまけに川擦れが効いていますから、景状的には、かなり良い石なのですが、石色がちょっと落ちるのが残念です。特に主峰には、多くの面積で白い部分があり、これが、かなり目立ってしまい、鑑賞の妨げになっています。石肌に少し時代がついてくると、なかなか見応えのある石になりそうです
この石は山型(岩型)の千軒石です。この石も底切断石なのですが、上部には2つ山の面白い芸があり、楽しめそうな石なのですが、傾き加減がちょっと良くないように見えます
写真も少し傾いてしまっているのですが、それ以上に、石の傾きが良くなく、右裾を2cm近く植え込みたい石です。現状では、全体が、ちょっと左に傾きすぎているようです
この石は富士川の紋様石です。「月に山」の紋様石で、なかなか風情のある石です。月が少し大きめということや山の傾きが気になるところですが、それ以上に図柄の良さが目立つ石です
この石は釜無川の溜まり石です。釜無川の石は石の層が平行に走っている為、あまり溜まりになりにくい石なのですが、この石は、全体の形状、溜まりの位置ともまあまあ良い溜まり石でした

ここから小品石の部です
この石は、三陸の山型石です。擦れも良くまろやかな単峰形で、山頂部も決まっている玄人受けをする石ですね。薄い水盤(銅盤)と平卓を使って飾ってあるのですが、ちょっと水盤が小さくて窮屈過ぎですね、このバランスですと許容範囲外です。もう一回り以上大きな楕円水盤が似合う石です
この石は佐治川の剣峰石(岩型石)です。丈がそこそこありますので、細さはちょうど良いくらいですが、山の傾きがどうしても気になってしまいます、もう少し左に傾けて飾ると、良くなる石だと思いました
この石は富士川の梅花石です。全体の形状は良く、花数も少なく、幹・枝とも良い位置に出ているのですが、全体のバランスがもう一つといったところです。もう少し右に傾け、枝先がちょっと右に振れるようにすると、良くなりそうです
この石は富士川の滝石(岩型石)です。石全体の形状はまあまあで、谷も良く、滝の水勢も良いのですが、ちょっと滝が短すぎかなというところです
この石は笛吹川舟形石です。花崗岩のソゲ石ですが、石全体の形状・舳先・溜まりとも良く、これで川擦れでも良ければ一級品の舟形石になっただろうと思われるような石です。水盤(銅盤)がちょっと狭い感じを受けるかもしれませんが、十分許容範囲内で、地板との取り合わせも良いですね

ここから、床の間飾りの部です
最初は、会場正面の仮床の右側になります
主石は奈良井川の土破石で、軸は差し紅葉の2点飾りです。軸については、この軸以外にアトリ(野鳥)の軸も持ってきたのですが、絵柄が振り向いたアトリの絵でしたので、左の仮床の軸とダブってしまうため、この軸に差し替えました





この石は主石の奈良井川土破石です。川擦れが良く効いたせり出し系の土破石となっていて、ちょっと洒落た感じの石です。この石を薄い銅盤に据え、洒落た平卓に飾ることにより、品の良い飾りになっています
こちらは会場正面仮床の左側になります
主石は伊奈川の溜まり石で、軸は鹿の図、添えは洋種イグサの3点飾りです
主石の水盤飾りは、品良くできていて、軸の画題も秋の鹿ですので、季節的には何ら問題ないのですが、惜しむらくは掛け軸の表装が、ちょっと惜しいです。このようなシンプルな絵ですと、やはり三段表装よりも、できれば丸表装(りんぽ)になっていれば、このように軸がえばってしまうような飾りにはならなかったと思います



この石は伊奈川の溜まり石です。石全体の形状も良く、見付け線の変化も抜群で、溜まりの位置・落ち口とも良く、溜まりとしてはかなり良いものです
地紋の銅盤に据えられ、洒落た平卓に飾られ、こちらも品の良い水盤飾りになっています

最後に添えに使われた草でも・・・
今回の展示会で使われた添え草の一部をピックアップしてみました
これらの草物は、コーナー飾りに使われた物や、床の間の飾りの添え草として使われた物、列席の添え草として使われた物です。紹介したものは、秋飾りらしく、秋の花や紅葉物などの季節を現わすような山野草が多いのですが、実際には、このような季節の物ばかりではなく、いろいろなバリエーションの山野草が会場を飾っています




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