| 水盤に水石を据える時に欠かせないのは砂です。水石を美しく見せるのには、砂も重要な役割を担っていて、そこらの川の砂を敷き詰めておけば良いというわけではありません。砂とは水石を据えて見せるためのいわば「舞台」みたいなものですから、できれば厳選された良い物を使いたいものです そこで、問題になるのは、どのような砂が良い砂なのか？・・・という事でしょう。砂を評価する要因は、色（色調）・水持ち・粒の大きさの３点ですので、それぞれについて、少し解説してみます ・色（色調） 言葉で説明するのは難しいのですが、薄い黄茶色がかかったようなものが、落ち着いているだけでなく、石を引き立てることができるので良いです（文字では難しいですね） なかには乾いている時の色は良いのですが、水に濡らすと、色がかなり濃くなり過ぎてしまい、うるさく感じるものもありますが、このような砂は、乾いてくる時に、砂が斑（まだら）状になってしまい、見苦しくなってしまいます。できれば、水を打ってもそれほど色調が変わらないのがベストでしょう また、実際の使用に当たっては、石色に合わせて、砂の色も使い分けたいところで、色が薄い砂と濃い砂の２種類を用意し、それぞれ単独の物と、混合したものを用意しておけば、どのような石にでも使えるので便利です ・水持ち 家の床の間では、それほどではありませんが、展示会などでは、会場内にエアコンが完備されている事がほとんどで、エアコンや照明等の影響により、かなり乾きやすい状況になっています。水盤石は普通水を掛けて鑑賞しますので、頻繁に水を掛けるのと同時に、ある程度水持ちが良い事も必要かもしれません。水持ちが悪いと、すぐに乾いてしまい、砂が斑状になってしまい、見苦しくなってしまいます ・粒の大きさ 粒の大きさについては、あまり大きなものでは、砂がうるさくなってしまい、やはり石を引き立たせる事ができません。できるだけ細かい方が良く、かといって吹けば飛んでしまうような粉状のものでも良くなく、粒の形状を保ちながら細かくあることが望ましいです 大きさを文字で表す事は難しいので、とりあえず写真にとってみました。左の砂なら、小品〜大型水石まで使う事ができますが、右の粒は、少し大きめですので、中型〜大型水石に使用することができます 大きさを文字で現すことは難しいので、比較対象ができるような写真をつけましたので、何とか参考にしてください  ちなみに、左の写真は左右違う砂を敷き、それぞれの上半分に霧吹きで水をかけてあります。色調については、デジカメ画像であることと、各自のＰＣのモニター等により見え具合はかなり違って見えると思いますが、何かの参考になればと思い、比較して見てください左にあるＡの砂は、鞍馬の川砂と呼ばれている砂で、砂の粒が細かく濡れ色もそれほど悪くなく、しっとりと落ち着いていて渋い感じのする砂です。かなり使い良い砂なのですが、今ではほとんど産出されていないと思われます。Ｂの砂は台湾の海岸砂で、多少粒は大きいのですが、比較的明るく大人しい色調なこともあり、石が映える感じの砂です 色調から見ると、Ａの砂は真黒系統の石に良く合いますし、Ｂの砂は青黒・蒼黒・緑系・茶系・赤系などの石に似合いそうです 現在、一番入手し易い砂は、能登砂と鞍馬砂ではありますが、能登砂については、海砂と川砂とがあり、海砂の場合、大量に塩分を含んでいる場合があり、水盤に砂を敷いて石を養石するような場合には、石や水盤を傷めてしまい不向きでしょう。そのような場合は、できるだけ川砂を用いる事をお勧めします 鞍馬砂については前述したとおりでして、鞍馬の川砂は、数年前よりほとんど産出されていないと思われ、一般的に多いのは、山砂と呼ばれている花崗岩のマサ土と呼ばれている砂です。この砂は、粒が荒めというだけでなく、粒が壊れやすく、ひどいものは最後に粉状になってしまいます。けっこうたくさん売られている砂だと思いますが、これについては、あまりお勧めする事ができません  参考までに、右の写真は、上記の鞍馬の川砂と台湾砂を１対１位の割合で混合したものです。粒の具合も多少の荒さは見られるものの、これくらいであれば充分使用可能でしょう。左半分が霧吹きで水をかけたもので、細かく見るとやや大きめの白い粒と細粒の濃い粒が混じっているのがわかるのですが、遠目で見る限りは、気になるほどではありませんので、石色だけでなく水盤の色に合わせて使い分けるためにも、このような混合砂を用意しておくのも良いと思います水石用の砂については、それぞれの業者さんがさまざまなルートにより、いろいろな砂が扱われています。それらのすべてを見ているわけではありませんので、どの砂が一番良いかという事については、まったく見当が付きません。これから砂の購入を考えている人であれば、いろいろな業者さんから１ｋｇほどの小分けで砂を購入して、その中から自分のお気に入りの砂を見つけていくのがよろしいかと思います 購入にあたっては、水石や盆栽の雑誌などを見ていると扱っている業者さんが出ていますし、また、現在はネットでも購入できるところがいくつかでています。私があちこちの砂を購入して、検討できれば良いのですが、既に３０ｋｇほどのストックを持っていますので、当分購入する事はありません。砂についての情報や知見をお持ちの方は、掲示板等で、ぜひお知らせください |
