石の高低について

 山型等の普通の水石であれば、だいたいは、石の高低が既に決まっていて、高い側を勝手として、石を飾る時には勝手側を高く飾るのが普通の飾り方です。しかし、時には横広の溜まりとか横広で割合フラットな岩型とかのように、見付けの高低が定まっていない石もあります。このような石は、いざ据えようとすると、意外に見付けが決まらない場合があります。今回は、このような石の据え方について研究してみたいと思います

 左の写真の石は、上面が割合フラットな高溜まり石で、この石を利用して今回は解説したいと思います

 この石は、上面から見ると、少し弓なりの形状をしていて、左方に突き出しているような感じの岩頭があり、写真では少しわかりにくいのですが、この付け根部分に水が溜まるようになっている石です




 そこで、二つの据え方により据えたのがこの画像です。右の写真は、右側(勝手側)を少し高くして据えてあり、左の写真は、左側(流れ側)を高くして据えたものです

 右の写真を見ると、勝手側が高くなっているので、石の流れは右から左方向へ、ほぼ水平状にスムースに流れているのがわかります

 左の写真を見ると、流れ側が高くなっているため、右から流れてきた石の流れは、最後に来て左上方向へ流れていってしまっています

 上面からと目通しで見た写真だけで、どちらが良いか判断するのは難しいとは思いますが、要はどちらが良いか?・・・で、石の据え方(見方)が決まってくるのです
 結論から先に書きますが、このような石は、右の写真のように据えるのが正解です。石の流れ側というのは、盆栽の差し枝と同じようなもので、石の流れ側の先端は、最低でも水平くらいで、上方へ石の力が逃げてしまうようですと、差し枝が上げってしまっている盆栽と同じことで、とても良いとは言えません。ですから、このような石については、できるだけ石の力を下方へ逃がしてやる事が肝心で、右の写真のように据えることになるのです

 なかには、石の力が左上方へ働いていても、石に動きが出て良いのではないか・・・と思われる方もいるかと思いますが、水石というのは、動きがあることも大事な鑑賞要素なのですが、それ以上に大事な要素は、【安定感】です。左の据え方ですと、安定感の無さと、石の動きを天秤に掛けても、安定感を出す事の方が、はるかに大事ですので、左のような据え方はあり得ません
 また、たまに【逆勝手】などという表現をしてしまうので、この石は逆勝手ではないのか・・・と思われる方がいるかもしれませんが、この石は逆勝手の石ではありませんし、左方を高くしても逆勝手になることはなく、ただ左上方へ石を流してしまっているだけにしかなっていないのです
 つまり、左方へ石を上げるということは、大きな欠点になってしまっているだけでしかなく、「石に動きが出るから、この据え方もあるのでは?」・・・ということも、絶対にあり得ないのです
 このような形状をした石は、けっこうありますので、しっかり覚えておくと、据え方に迷う事はなくなりますし、石を拾う時にも参考になりますので、頭の隅にでも入れておくと良いと思います




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