2006年12月編

今月の飾り
 2005年10月の研修会より、勉強方法を少し変えてみました。それは、飾りの中で 『一番良い点』 と 『一番悪い点』 を見つけるという方法です。従来の良い点だけを見つけるという方法も、いわゆる「あら探し」になることなく、飾りの良い点が理解できる方法としては適切なのですが、飾りの悪い点を把握していく事も、ミスの少ない飾りを行う上では勉強になるだろうということで、この方法に変えました
 また、その発表方法についても、今までは、各人が順番に良い点を発言していくという方法でしたが、この方法ですと、最後の方に発言する人は、先に発言する人達の意見を耳にしてしまうので、いろいろと迷ってしまう場合もあります。そのため、今回からは、各人がそれぞれに渡された紙に、『一番良い点』と『一番悪い点』を書いて講師に渡し、最後に講師がそれを発表し、勉強をしていくという方法です
佐治川産山型石
紫泥楕円水盤
花梨算木中卓
掛け軸は軸は雀の図


添えは南天

3点飾り

 先月の当番さんが飾りを忘れてしまったので、今月は、先月の当番と今月の当番の2つの飾りについて勉強しました。最初は、先月分の飾りです

 仕事の関係で遅れて参加することになってしまい、最初の席については、席主の話を聞くことも会員間の勉強も聞くことができませんでしたので、飾りの解説をしてみたいと思います。今回の飾りは、主石に佐治川の山型石を用い、軸は雀の図、添えは南天の3点飾りです。12月末の飾りですので、正月飾りになり、南天を添えることにより、正月らしさを表現しています

 石自体はバランスの良い山型で、なかなかのものです。軸は雪の中を舞う雀の軸ですが、南天を添えることにより、正月らしさや葉の赤による暖かさや華やかさが加味され、暖かさも感じられ色彩的にも良くなっています

 この水盤は、ラグビーボールよりも細長い楕円形の水盤で、写真で見ると、水盤が大きすぎるように見えますが、実際は、水盤の細さと薄さで、バランス的にはそれほど悪くなく、これでも充分バランスがとれています。この水盤の使い方は、なかなかのものだと思います
 ただ、石に比べてちょっと卓が大きすぎるのが、ちょっとバランス的に良くありません。少し重量感を感じさせる算木の卓ですので、石だけが取って付けたような感じになってしまい、卓が目立ち過ぎてしまいます。これでは許容範囲を超えている感じです。もう一回り小さな卓を使いたいところです

 参考までに、この水盤は、いわゆる泥物と呼ばれている無施釉の水盤です。養石用や勉強用の水盤として一般的に良く使われているものです。展示会に使っても問題はないのですが、正式に床の間にあげようとすると(正式な床の間飾りの場合)、主役を乗せる物として無施釉のものでは、やはり格が落ちてしまいますので、水石飾りの場合は避けた方が良いですね。盆栽の場合は無施釉の物であっても大丈夫です
奈良井川産山型石
春松緑釉楕円水盤
紫檀平卓
掛け軸は雪の神社


添えは羽根

2点飾り

 今月は12月ですので正月飾りを行ってみました。奈良井川産の山型石を主役にし、神社の軸・羽子板の羽根を添え、正月らしさを少し演出してみました。この石に会う水盤がなかなかみつからず、少し薄めであり、なおかつ安価な型物のものではありますが、これがまあまあ合っているだろうと思いこの水盤を使っています
 また、正月らしさを表現するために、羽子板の羽根(はねっこ)を添えてみましたが、羽根の赤色がちょっと五月蠅く感じていて、昔ながらの白い羽根の方が良かったかなと思っています(以上 席主)


そして、集まった結果が次のとおりです

◎一番良い点
全体のバランス・彩りなどが良い
石が良い
羽根の赤は五月蠅くなく、正月らしくて良い(特に正月飾りとして)
季節感が良い

等の意見が集まりました(複数回答有り)
皆さんは、どのように思われますでしょうか?
せっかくですから、下の正解を見る前に、しばらく考えてみてください。


◆ 正解 ◆
『一番良い点』については
 今回の飾りは、正月主飾りですので、目出度さや華やかさが欲しい飾りであり、石もそれなりに良いのですが、やはり一番良い点となると、華やかな正月らしさの季節感です。席主は羽根の赤が五月蠅く感じていますが、そのようなことはなく、水石の本道は侘び寂びや渋さ等を表現するものではあっても、正月飾りだけは華やかさや雅やかさが欲しいもので、その点で考えると、羽根っこの赤は五月蠅いのではなく、この場合は、華やかさや雅やかさを感じさせますので良いですね
 また、軸の神社も鳥居に注連縄が張られていたりして、正月を感じさせるものでもあり、雪の風景には若干の寒々さも感じはしますが、羽根の赤がこれを補って、全体として良い雰囲気になっています

『悪い点』については
 今回の飾りで目立った悪い点は、一番が羽根の向きです。席主は羽根っこの玉の部分を流れと見て、このように置いたのですが、やはり、これは反対で、玉ではなく羽根の方が流れになり、現状のままでは、主飾りも添えも同じ左勝手になってしまい、飾り全体が右に流れてしまいます。羽根の向きを変えることによって、石の流れを受け止めなければなりませんので、添えの向きが最悪となってしまいました
 また、水盤の薄さもちょっと気になる薄さです。この石は底切り石であり、これだけでもハンデキャップになってしまうわけですから、そのような場合、このような浅手の水盤では、底切りであることが一目瞭然にわかってしまい、このこともマイナスになってしまいます。ですから、もう少し深めの水盤で飾りたいところです






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