2006年11月編

今月の飾り
 2005年10月の研修会より、勉強方法を少し変えてみました。それは、飾りの中で 『一番良い点』 と 『一番悪い点』 を見つけるという方法です。従来の良い点だけを見つけるという方法も、いわゆる「あら探し」になることなく、飾りの良い点が理解できる方法としては適切なのですが、飾りの悪い点を把握していく事も、ミスの少ない飾りを行う上では勉強になるだろうということで、この方法に変えました
 また、その発表方法についても、今までは、各人が順番に良い点を発言していくという方法でしたが、この方法ですと、最後の方に発言する人は、先に発言する人達の意見を耳にしてしまうので、いろいろと迷ってしまう場合もあります。そのため、今回からは、各人がそれぞれに渡された紙に、『一番良い点』と『一番悪い点』を書いて講師に渡し、最後に講師がそれを発表し、勉強をしていくという方法です
 今月の飾りは、当番さんが忘れてしまいましてお休みになってしまいました。その代わりというわけではありませんが、会員の一人が、石の据え方や勝手がわからないという一石を持ってきまして、その据え方について少し勉強してみましたので、今回は、その石のついて触れてみたいと思います

 写真ではわかりにくいかと思いますが、この石は富士川産の硬質な溜り石で、中央やや右寄りに主峰があり、溜りを備えた遠山抱湖の景状をしている石です。この石の据え方や勝手に関する特徴を分析してみますと次のとおりです

1 主峰が中央より右にある
2 溜りは中央やや右寄りにある
3 落ち口は右側にある
4 主峰から左右に稜線が広がっているが、左の稜線の方がやや強い
5 上面から見た石形は、ほんの少しだけ左が厚く右がやや薄い。しかし、先端部分は左が薄い


 この5点が、勝手や据え方を決める決め手になります

 右の写真は、この石を上から見た画像です

 この石を持つ会員さんは、右手前に落ち口があったり、左手前に強い稜線が延びているため、素直に石を見ると右勝手になるのですが、溜りの落ち口や、溜まりの位置等を見ると左勝手になりますので、どちらか決めかねて迷っていました

 上からの画像を見ると、確かに左勝手に飾りたくなる石ですが、果たして左勝手の方が良いのか・・・迷いそうな石です


 最初に考えなければならないのは、やはり『勝手』ですが、勝手を決める要素は、主峰の位置・厚み(奥行き)・高さ・石の流れ等で、高さと厚みが一番重要で、高い方あるいは厚い方が勝手になるのが基本ですが、時には石の流れが、高さや厚みとは逆に強く流れている場合があり、逆勝手になる場合もあります。この石も、パッと見では逆勝手にも見える石ですこの石の特徴である2・3は左勝手の要素であり、1・4は右勝手の要素で、5はどちらともはっきり言えない要素でしょうか。普通であれば、左勝手になりそうな石です
 そのため、持ち主の会員さんは、左の写真のように溜まりを活かすように左勝手に据えたらと考えていました

 最初に考えるのは『この石が逆勝手で見られるのか?』で、その次は『本勝手と逆勝手でどちらが優れているか?』です。このように考えながら、一番石を活かすことができる据え方を見つけています

 では、『この石が逆勝手で見られるのか?』を考えてみます。前述したように右勝手になる要素としては、1・4があり、特に主峰の位置は好ましくなります。しかし、右勝手にしてしまうと、そのような長所を活かすことはできますが、短所も目に付いてきてしまいます。右勝手に据えた時の最大の欠点は、何といっても溜まりの落ち口の悪さにつきます。右勝手でありながら、右側に落ち口があるのは、やはりいただけません。かといって溜まりと落ち口を活かすべく左勝手にしますと、上の写真のようになり(ちょっと左寄りから撮りすぎたので、少しオーバーになっていますが・・・)、全体の景状が悪くなってしまいます
 結論から言いますと、この石は、右勝手の方が優っていますので、右勝手の石ということになります。あとは据え方ということになるのですが、右勝手にした場合の欠点は、溜りの落ち口で、溜りの落ち口を修正する事になります。少しでも右奥を上げるようにして、左側に落ち口が来るようにすると、石の流れが整いスムースになります
 このようにして、この石の据え方が決まっていきます

 この石の場合、左勝手でも見ることができないわけではなく、自分で楽しむくらいでしたら、左勝手に据えても良いだろうと思います。ただし、展示会等で正式に展示する場合(他人に鑑賞してもらう場合)は、やはり、石を最高に活かした据え方をする事が大事です。「この石は、2通りの据え方があるから、2回展示会に飾れる」などというのを、たまに耳にしたりしますが、展示会等へ飾る場合は、最高の姿を飾るべきで、それより落ちてしまう据え方で飾ったりすると、「この席主は、石を見切れていない」などと思われてしまうかもしれませんので、家で個人的に楽しむのならともかくとして、展示会等で正式に飾る場合は、最高の据え方を見出す事が必要になりますので、くれぐれもご注意ください






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