2006年6月編

今月の飾り
 2005年10月の研修会より、勉強方法を少し変えてみました。それは、飾りの中で 『一番良い点』 と 『一番悪い点』 を見つけるという方法です。従来の良い点だけを見つけるという方法も、いわゆる「あら探し」になることなく、飾りの良い点が理解できる方法としては適切なのですが、飾りの悪い点を把握していく事も、ミスの少ない飾りを行う上では勉強になるだろうということで、この方法に変えました
 また、その発表方法についても、今までは、各人が順番に良い点を発言していくという方法でしたが、この方法ですと、最後の方に発言する人は、先に発言する人達の意見を耳にしてしまうので、いろいろと迷ってしまう場合もあります。そのため、今回からは、各人がそれぞれに渡された紙に、『一番良い点』と『一番悪い点』を書いて講師に渡し、最後に講師がそれを発表し、勉強をしていくという方法です
梓川産溜まり石
銅楕円水盤
紫檀透かし平卓
掛け軸は、アメンボの図


2点飾り


 今回の飾りは、主石は梓川の溜まり石に、軸はツバメの図を用いての2点飾りです。6月も後半に入り、いよいよ梅雨入りをしたので、少し涼しげな飾りを試みようと、溜まり石にアメンボの軸を使って飾りました。軸に睡蓮が描かれているので、添え草をおかず、2点飾りにしてあります。ただ、この石に合う水盤が無く、かなり朝手の銅盤に据えたのが、少し気になっています。また、現状の景状では、遠山抱湖の景色になってしまいますので、できるだけ手前を起こし、奥を沈めてただの溜まりにしたいのですが、水盤の関係で、それもできず遠山抱湖状の景色になってしまいました(席主)

そして、集まった結果が次のとおりです

◎一番良い点
全体の季節感が良い
道具等の取り合わせが、涼しげで良い
主石が良い

◎一番悪い点
軸の位置をもう少し上に(下げすぎでは)
主飾りが少し奥過ぎる
軸の表装が、ちょっとうるさいのでは
水盤が浅すぎる
水盤の置く位置を少し左に


等の意見が集まりました(複数回答有り)
皆さんは、どのように思われますでしょうか?
せっかくですから、下の正解を見る前に、しばらく考えてみてください。


◆ 正解 ◆
『一番良い点』については
 今回の飾りで、一番良い所は主石と軸の醸し出す季節感の良さです。溜まりが遠山抱湖に見えてしまうという欠点はあるものの、溜まりとアメンボの取り合わせは、今の季節としては、なかなか良いもので、この点が一番良い点です

『一番悪い点』については
 悪い点として目立つのが2点あり、それは、【水盤の浅さ】と【主飾りの位置】です。目立つことから言いますと、水盤の浅さということになるのですが、これは席主も承知していることなので、一番悪い点は、主飾りを置く位置です。写真ではわかりにくいのですが、席のかなり奥目に飾られてしまい、前の方がだいぶ空いてしまいました

 今回の席主は、非常に意欲があり、もう一つの飾りも披露してくれまして、その飾りは、次のとおりです
知内川産山型石
灰釉楕円水盤
紫檀平卓
掛け軸は、樹林に燕の図


添え草はシダの仲間


3点飾り


 こちらが、2回目の飾りです。主石を岩型に見立てて、軸には燕の図、添え草にはシダを使った3点飾りで、急峻な山岳地帯の景色を出して、少しでも涼しさが出ればと思い飾りました(席主)

そして、集まった結果が次のとおりです

◎一番良い点
高度のある山の景色感が良く出ていて、清涼感を感じて良い
主石が良い

◎一番悪い点
卓の足が少しうるさい
添えの地板少しうるさいのでは


等の意見が集まりました(複数回答有り)
皆さんは、どのように思われますでしょうか?
せっかくですから、下の正解を見る前に、しばらく考えてみてください。


◆ 正解 ◆
『一番良い点』については
 今回の飾りでは、ほとんどの方が同じような評価でした。この石は、本来ならば海の景(島形・荒磯形)なのですが、燕の画題とシダとの取り合わせにより、高度感のある岩型にも見え、3つの取り合わせにより、断崖の景色が良く出ていて、この点が一番良い点です

『一番悪い点』については
 悪い点についても、卓と地板の2点が指摘されました。どちらが良くないのかということになりますが、正解は地板です。卓の足も良くはないのですが、さりとて、この卓ではダメかというと、それほど悪いわけでもなく、大きさは小さいのですが地板の方が、うるさく感じるという点で、地板の方が悪いことになります
 この地板の悪いところは、左右両端に出っ張ている部分で、添え草の草姿自体が少しうるさいので、非常に煩わしく感じてしまい、もう少し周囲がのっぺりとした波板地板を使う方が、草姿も引き立ちますし、飾り全体としても良くなるということになります

 なお、主飾りが少し左よりに見えてしまいますが、これは、軸を掛ける釘が床の真ん中に打っていなくて、少し左目になってしまったことから、全体のバランスが崩れてしまったものでして、主飾り等のおける左右の位置関係については、今回は考慮していません






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