2005年12月編

今月の飾り

2005年10月の研修会より、勉強方法を少し変えてみました。それは、飾りの中で　『一番良い点』　と　『一番悪い点』　を見つけるという方法です。従来の良い点だけを見つけるという方法も、いわゆる「あら探し」になることなく、飾りの良い点が理解できる方法としては適切なのですが、飾りの悪い点を把握していく事も、ミスの少ない飾りを行う上では勉強になるだろうということで、この方法に変えました 　また、その発表方法についても、今までは、各人が順番に良い点を発言していくという方法でしたが、この方法ですと、最後の方に発言する人は、先に発言する人達の意見を耳にしてしまうので、いろいろと迷ってしまう場合もあります。そのため、今回からは、各人がそれぞれに渡された紙に、『一番良い点』と『一番悪い点』を書いて講師に渡し、最後に講師がそれを発表し、勉強をしていくという方法です
姫川産山型石 志茄埜庵蕎麦釉外縁腰紐長方水盤 甲狭間机卓	掛け軸は、雪茅舎の図	添えは南天	3点飾り
●席主曰わく 　１月（正月）の飾りなので、冬らしくするとともに温かみのある飾りに心がけ、姫川の山型石を飾ってみました。軸は雪の田舎家にして、南天を添えに使ってみました 　 　ということでした 　次に、研究会で研究しあったことは、概ね次のとおりです □この飾りの　一番良い点　については ・石、水盤、卓、軸、添え全てのバランスが良い ・冬なので暖色系等を使用し、色彩的なバランスが良い ・石、水盤、卓の主飾り部分が優れている などの意見がでました □この飾りで　一番悪い点　については ・砂の色が悪すぎる ・主飾りの配置が前過ぎる ・添え草の地板の季節感が悪い（竹である為） などの意見がでました さて、みなさんはどのように考えたでしょうか？ ◆正解は次のとおりです 『一番良い点』については 　＜色彩や大きさのバランスが優れている＞　という点です。大きさのバランスについては、誰でも比較的取れているのですが、色彩のバランスについては、ついついお座なりになりがちな中、この飾りでは、寒い冬に求められるであろう「暖かさ」について、水盤の色・添え草の鉢色・軸の表具色等で、綺麗に調和されているということが一番優れていて大きな見所となっていますです 『一番悪い点』については 　＜主飾りの位置＞です。左右のバランスは良いのですが、ちょっと全面に置きすぎていました。多少ならば良いのですが、今回は、あまりにも目立ちすぎるということで、この点が一番悪いという評価につながりました。やはり主役ですから、充分に気を配って配置しなければなりません □まとめ（全体講評）　としては 　一番良い点については、全体の大きさのバランスが良く、色彩のバランスも温かみがあって優れているということになりました。一番悪い点については、やはり主飾りの配置位置ということで、主飾り部分が前過ぎることにより、配置的な悪さが一番の致命傷になっている事で、２番目は砂の色の悪さです。配置の悪さについては、席全体の悪さに繋がってしまい。砂色の悪さは、主石を活かすことがなくなってしまいますので、２番目に悪い点ということです 　添え草の地板については、冬だからといって竹素材が絶対にダメということではないので、３番目に悪い点になります 　写真ではわかりにくいのですが、石の据え位置も若干悪く、石の据え位置が４番目に悪い点ということになりました 　季節感については、これといって特に問題があるわけではないのですが、正月飾りなので、もう少し華やかで雅のある飾りにした方が良く、獅子舞・羽子板・能人形・門松・日の出・鶴などのように、正月らしい物・目出度い物を、軸か添えに取り入れることで、正月らしさを感じるようになり良いということになります 　そうして、手直しした後の飾りがこの　　写　真　　です。わかりにくいかもしれませんが、主飾りの位置を後ろに下げ、石の据え位置を直し、添えを獅子舞に変更してあります。これにより、全体のバランスも良くなり、正月飾りらしくなりました □その他 　 　今回の飾りのポイントについては、主飾りの配置の悪さもありましたが、これについては、今回青氈がなく、座敷机を並べその上に飾ったために、席主のバランスが少し狂ってしまったようです。ですから『正月飾り』ということでしょうか。 　上にも書きましたが、やはり正月には正月らしい飾りをしたいもので、獅子舞・羽子板・能人形・門松・日の出・鶴・松などの正月に関連する物や、お目出度い物を軸か添えに使うということです。一年に一番お目出度い正月ですから、いくら水石や盆栽飾りだからといって、渋い物ばかりではなく、華やかで雅のある飾りに心掛けたいものです。正月くらいは雅のある飾りでいきたいですね

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