2005年10月編


 研修方法を少し変え、 飾られた席の良い点を見つけ出す ことになりました。これは、「ここをもう少し変えれば良くなる」とか「ここが良くない」とかのアラ探し的な勉強方法では、なかなか個々の力が伸びない為で、良い点をキチンと見極めることのできる鑑識眼(鑑賞眼)を養い、それぞれが行う飾りに役立たせることにあります


今月の飾り
 今回の研修会では、勉強方法を少し変えてみました。それは、飾りの中で 『一番良い点』 と 『一番悪い点』 を見つけるという方法です。従来の良い点だけを見つけるという方法も、いわゆる「あら探し」になることなく、飾りの良い点が理解できる方法としては適切なのですが、飾りの悪い点を把握していく事も、ミスの少ない飾りを行う上では勉強になるだろうということで、この方法に変えました
 また、その発表方法についても、今までは、各人が順番に良い点を発言していくという方法でしたが、この方法ですと、最後の方に発言する人は、先に発言する人達の意見を耳にしてしまうので、いろいろと迷ってしまう場合もあります。そのため、今回からは、各人がそれぞれに渡された紙に、『一番良い点』と『一番悪い点』を書いて講師に渡し、最後に講師がそれを発表し、勉強をしていくという方法です
釜無川産土破石
年窯長方水盤
鉄刀木天拝卓
掛け軸は、滝の図


添えは黒軸カリヤス

3点飾り



●席主曰わく
 9月の飾りなので、初秋を感じるような季節感に気をつけて飾りを行いました。主石は島型石にも見えますが、高土破石として飾り、滝の軸を添えることにより、『滝見台』の風情になるような演出を試みました。そのためにも、少しでも「滝見台」に見えるような高土破石を選んだのですが、主石としては、少々小さかったかなとも思っています

 ということでした
 次に、研究会で研究しあったことは、概ね次のとおりです

◆この飾りの 一番良い点 については
・石、水盤、卓、軸、添え全てのバランスが良い
・最初は島型石と思っていたが、席主の説明を受け、滝見台の風情を感じ、景色感が素晴らしいと感じた
・石、水盤、卓の主飾り部分が非常に良い取り合わせで、高いレベルで優れていると思った
などの意見がでました

◆この飾りで 一番悪い点 については
・石が少し小さすぎる
・石の形が悪い(全体の形状としての形ではなく、卓・水盤が四角っぽいのに石も四角という点)
・添え草のバランスが良くない
などの意見がでました

さて、みなさんはどのように考えたでしょうか? 正解は次のとおりです

『一番良い点』については
 <石、水盤、卓の主飾り部分が非常に良い取り合わせで、高いレベルで優れている> という点です。卓は鉄刀木さんではあるものの、足の細さと反り具合も非常に優れ、鰭飾りはシンプルな物ではあるが、天拝卓としてはバランスが良く、水盤も年窯を取り合わせ、道具の使いこなしが一番優れている点になります。ただ「合っている」というだけでなく、高いレベルで合っているという事が、今回の一番優れている点になります

『一番悪い点』については
 <石の形が悪い(全体の形状としての形ではなく、卓・水盤が四角っぽいのに石も四角という点)>です。卓・水盤が四角く見えてしまい、石も正面から見ると、四角く見えてしまい、形がダブって感じてしまうのが、一番良くない点です。石が滑らかな裾を引いている物が、この卓と水盤の組み合わせにはベストでしょう。どうしてもこの石を飾りたいのなら、水盤を楕円に変えるということです

◆まとめ(全体講評) としては
 一番良い点については、上記のとおりで、その他では景色感や配色のバランスとも、優れた飾りであるということになりました 一番悪い点については、上にも記しましたが、石の大きさが少し小さめでした。この水盤の大きさならば、あと5cmほど高い石でなくてはならず、高さがこれくらいなら、もう少し横幅がないと、バランス的に釣り合ってこなく、石が小さめな事もマイナス要素でした

◆その他

 今回の飾りのポイントについては、しいて言えば 『道具立て』 でしょうか。さまざまな道具類を組み合わせて飾りを楽しむ場合、一番重要なことは、大きさや色彩のバランスをとることにあり、さらに「季節感」や「景色の創出」ということになります。道具類と簡単に言っても、卓・水盤・鉢などをとっても数百円の物から、数百万もする物まであります。水盤一つとっても、同じ大きさなら2千円くらいの流し込みの水盤から数十万もするような高級水盤まであるのですが、水盤の持つ基本的な働きは同じであっても、高級な物と安価な物、新しい物と古い物では、受ける印象はまったく違った物になることはご承知のとおりです
 今回の飾りは、年窯の水盤と洒落た天拝卓との取り合わせがされていますが、大きさのバランスが整っているだけでなく、見るからに高級感や品格を感じさせるものであり(写真ではわかりにくいのですが)、今回の飾りでは、この点が一番の見所となっています。石や飾りの良し悪しとともに、良い道具類を使いこなす事も、飾りの要素の一つですので、調和のある使い方がされている場合は、このあたりも観賞のポイントとなるということです 注意したいのは、ただ高級な道具類を用いているからといって、そのすべてが高級感のある飾りになるのではなく、あくまでも 「バランスが取れている」 ということが大前提にありますので、注意が必要です



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