2005年8月編


 研修方法を少し変え、 飾られた席の良い点を見つけ出す ことになりました。これは、「ここをもう少し変えれば良くなる」とか「ここが良くない」とかのアラ探し的な勉強方法では、なかなか個々の力が伸びない為で、良い点をキチンと見極めることのできる鑑識眼(鑑賞眼)を養い、それぞれが行う飾りに役立たせることにあります


今月の飾り
 今回の研修会では、勉強方法を少し変えてみました。それは、飾りの中で 『一番良い点』 と 『一番悪い点』 を見つけるという方法です。従来の良い点だけを見つけるという方法も、いわゆる「あら探し」になることなく、飾りの良い点が理解できる方法としては適切なのですが、飾りの悪い点を把握していく事も、ミスの少ない飾りを行う上では勉強になるだろうということで、この方法に変えました
 また、その発表方法についても、今までは、各人が順番に良い点を発言していくという方法でしたが、この方法ですと、最後の方に発言する人は、先に発言する人達の意見を耳にしてしまうので、いろいろと迷ってしまう場合もあります。そのため、今回からは、各人がそれぞれに渡された紙に、『一番良い点』と『一番悪い点』を書いて講師に渡し、最後に講師がそれを発表し、勉強をしていくという方法です
釜無川産滝石
呂均釉楕円水盤
斑竹平卓
掛け軸は、山水図


添えはナナカマド

3点飾り



●飾りの解説

 今回は席主からの解説がなかったもので(忘れてたのかな)、私が解説することにします。主石は持ち込みの古い釜無川産の滝石で、奥行きのある陶翠の呂均釉楕円水盤に据えられ、班竹の平卓と取り合わせられています。席主いわく、最初は奥行きのない普通の楕円水盤に据えてみたのですが、水盤の形と石の形が同じ様な形になってしまうため、奥行きのあるものに変えて変化をつけてみたそうです
 軸は、南画や中国の桂林あたりで見られそうな急峻な山岳(岩場)の図で、添えは細身のハゼが合わせられた3点飾りです。席主は、当初根洗いのシノブを合わせようともしていたのですが、最終的には、このハゼに変えました

 集まった意見は次のとおりです

◎一番良い点
・全体の季節感が良い
・全体のバランスが良い
・呂均釉の色が色彩的に良い
・添え草の姿が良い

◎一番悪い点
・水盤と石とのバランスが悪い
・地板が大き過ぎる
・添え草が秋っぽい
・卓が大き過ぎる
(これは、間口の問題ではなく、写真ではわかりにくいのですが、奥行きのある水盤を使っているため、前後が少し窮屈ではないかという指摘です)

等の意見が集まりました(複数回答有り)


◆皆さんは、どのように思われたでしょうか? 正解は次のとおりです

『一番良い点』については
 滝石の主役に対して、呂均釉の水盤・班竹の取り合わせが、季節感・形、大きさのバランスとも優れている事です。しかも、ただバランスが整っているだけではなく、品格も良く高い次元で整っています

『一番悪い点』については
 やはり、添え草です。葉の色がみずみずしい緑ならば、まだ良いのですが、赤味が差してしまっているので、これでは、どうしても紅葉を意識せざるを得ず、まだまだ残暑の時期ですから、この取り合わせが、一番悪いという事になります。また、軸に松が描いてあり、この松とハゼが同じ樹としてダブってしまうのもマイナス要因の一つです

 細かく見ていくと、他にも良い点や悪い点がありますが、最大のポイントは、上記の2点でしょう。この2点がキチンと指摘できた人は満点です
 
 最終的には、添えを シノブ に変えてみた飾りが こちら です
 添え草の器も面白いし、こちらの方がはるかに優れた飾りのように思えます。また、水盤の深さについては、あと5mm程度深ければ完璧なのですが、ちょっと浅めですが十分許容範囲内であり、欠点となるほどではありません



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