2005年3月編
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| 今月の飾り | ||||
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| 安部川産平溜まり石 信楽蕎麦釉大撫で角水盤 真塗り平卓 |
掛け軸は、ネコヤナギにジョウビタキの図 |
添えは和船 |
3点飾り |
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●席主曰わく ３月末の飾りなので、いよいよ本格的な春の到来を感じさせる季節になりましたので、早春の息吹を感じさせる飾りを試みました。主石は平溜まり石を据え、軸はネコヤナギにジョウビタキの図です。平溜まり石で池や沼の景色をだすことにして、軸は池の畔（ほとり）にある芽吹き始めたネコヤナギを添え、景色感を統一してみました 今回の飾りでは、２つのある試みをしてみました。一つ目は主石に関してで、ご覧のとおり、卓・水盤と比べると、石が少し小さめで、本来、この石のサイズなら、１寸ほど小さい水盤と卓を使わなければならないのですが、そうすると、全体のボリュームが無くなってしまい、この一間床には、小さすぎてしまいますので、あえて広めの水盤と卓を使い、水盤と卓のボリューム感で一間床に耐えうるかという試みです。もちろん、この飾りに使える石は他にもあるのですが、皆さんの意見を聞きたくて、このような飾りにしてみました 二点目は、添えの和船です。主石は平溜まり石で、これは平地の池や沼を現わしているのですが、水石に関する知識のない人には、わかりにくいと思いますので、あえて和船を置き、溜まりが池や沼であることを知らしめるのに効果があるかどうか？ という事に関して、皆さんのご意見を聞きたくて、和船を添えてみました。薄い平溜まりに対して薄く細長い和船は、形的には合う事はなく、もう少し厚めの石に合うのは承知していますが、景色的に添えた方が良いかどうか？ に関してご意見をお聞かせください ということでした 次に、研究会で研究しあったことは、概ね次のとおりです □この飾りの良い点 については ・抜群の季節感を感じさせる良い飾りである ・バランスも良く調和がとれていて、景色感も良いと思った ・席主の飾り特徴であるらしい景色感は抜群に良く、季節感も最高で言うことはありません などの意見がでました □まとめ（全体講評） としては 季節感については、ネコヤナギの芽吹きの図で、ちょうど良いのではないか。平溜まりに細身の軸とのバランスも調和がとれ、季節感・景色感・全体の調和という面では、良いのではないか 石の大きさについては、席主の言うように、やはり、少し小さすぎて、部分的に見た場合、一間床では小さすぎ、このサイズの石ならば、四尺床くらいでなければ、石が働かないだろうと思われます。この形の石であれば、あと２ｃｍくらい大きな石でないと、一間床には耐えられない 添えの和船については、賛否あるところではあるが、薄めの石が主石なので、やはりバランス的に良くなく、この飾りに関しては、和船は不用だろうという事になりました。もちろん、大きさ的にも主石とそれほど差がないのも、良くない点で、石にある程度のボリュームさえあれば大丈夫ということになりました それよりも、気になる点は卓使いに関してです。主石が半円形状の石で、勝手側も流れ側もせり出している、いわゆる『両ゼリ』状になっていて、石の下に空間がある状況になっています。水盤の足の間にも空間があり、卓の足間にも空間があり、空間がいくつもできる状態にあるのが、やはりマイナスになってしまいます。このような場合は、平卓ではなく、地板を使った方が石の両ゼリ部分が活きてきますので、卓ではなく地板を使う方が、やはり良い飾りになるでしょう □その他 ということで、今回の飾りに関しては、やはり主石が小さすぎるという事と、和船の添えは不用という事になりました。 今回の飾りのポイントについては、卓の使い方と石の大きさでしょうか。今回のように薄くせり出しのある平溜まり石などは、その部分を強調させるために、卓ではなく地板を使い、せり出しを見せる事が石をより活かす事ができる飾りになりそうです。もう一点の石の大きさについてですが、水盤を広めに使うのにも限度があり、この石では少し小さすぎたようです。上方にもう少しボリュームがあれば、ある程度はカバーできるのですが、いかんせん薄い平溜まりですので、ボリュームがなさすぎのようです ３月上期の飾りを見てもわかるとおり、今回の飾りは、私が行ないました。床の間の席をそのまま研修会に出せば、特に問題はなかったのですが、せっかくの研修会ですので、少しは議論が出るようにと、ここにはちょっと変えて展示をしてみました。飾りとは奥が深くて面白いものですね |
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