2004年11月編


 研修方法を少し変え、 飾られた席の良い点を見つけ出す ことになりました。これは、「ここをもう少し変えれば良くなる」とか「ここが良くない」とかのアラ探し的な勉強方法では、なかなか個々の力が伸びない為で、良い点をキチンと見極めることのできる鑑識眼(鑑賞眼)を養い、それぞれが行う飾りにも役立たせることにあります

今月の飾り
奈良井川山型石
撫で角銅盤
平卓
掛け軸は、飛鳥暮色


添えはヤマモミジ立ち


3点飾り



●席主曰わく

 暦の上ではもう冬なのですが、小春日和が続き、里の秋は真っ盛りという感じになってきて、今日は、この時期に良さそうな山型石を、銅盤と平卓を使って飾ってみました
 この石は富士山とも見られるし、他の山と見てもらっても結構です

 添え草は、どうしようかといろいろ考えたのですが、実験的にヤマモミジの寄せ植えをそ飾ったのですが、果たしてどうだったのか?・・・・皆さんの感想を聞かせてください

 ということでした
 次に、研究会で研究しあったことは、概ね次のとおりです


□この飾りの良い点
については

・雪をかぶった山の風情やヤマモミジの紅葉で、季節感は出ていて良いと思う
・山型の石に、飛翔している鳥とのバランスは非常に好ましく感じる
・石+銅盤+卓との調和が抜群に優れていて、お見事!!
・この石を撫で角の銅盤に据えるのは、かなり難しいと思われるが、寸分の狂いもなく据えてあるのは、高い技術を持っていると感じた
・山の頂上には白く雪があり、中腹には紅の紅葉がありと、この季節にはピッタリの石だと思う

などの意見がでました

□まとめ(全体講評)としては

 季節感については、石だけで冠雪と紅葉が現されているので、他の物(添えや軸)まで季節感は出さないで良いだろうということになり、添えのヤマモミジは不要ということになりました。もちろん、この添えは、大きさも大きすぎるし、添えとしてはボリュームがありすぎ、使える物ではありません。もう一点、石の紅・軸の夕焼け・ヤマモミジの紅葉と、赤い色が3点も使われることは、あまり好ましくなく、そのような理由でヤマモミジの添えは不要ということになりました
 参考までに、株立ちのヤマモミジではありますが、丈をつめて(背を低くし)細幹のまま持ち込めば、水石の添えとしても充分使えるものになります。今回の添えでも、主木を10cmほど詰め、その他の幹も少し詰めて、葉刈りをして小葉にしておけば、秋の良い添えとして利用できると思います

 石の据え方・銅盤・卓の使い方については、非常に素晴らしく、ただ合っているということだけでなく、品格良い調和をしていて、特に 石の据え位置 などは絶妙でした。この石は、本来ならば楕円水盤に据える石なのですが、据え方によっては、このような大撫で角気味の水盤にも据えることができ、正確な位置に据えてあることが、素晴らしかったです

□その他

 今回の飾りのポイントも配色です。石・軸・添えなどの一点一点が良い物でも、同色の物を組み合わすことにより、今回は同色使いの失敗例となってしまいました。ちょっと欲張りすぎたのかもしれませんね
 それと、季節感のダブりです。季節感のある物を組み合わすことにより、季節感が増幅されるのではなく、かえって『しつこさ』をも感じさせるものになってしまいました。季節感を出すのには、3点飾りの中でも、1点で現せば充分で、2点以上になると、ちょっとしつこさが出てしまいますので、季節の物は1点でとどめるか、2点使う場合なら、季節感が強く強調されないものを取り合わすべきだということになります

 添削の結果、添えのヤマモミジをはずしての2点飾りが この写真 です。ちょっと、あっさりしているようにも見えますが、これで充分良い飾りになっていると言えるでしょう

 主石の奈良井川紅流し石については、写真見てもわかるとおり加工石です。本来、加工石などあまりお薦めではないのですが、いわゆる冠雪した富士山を現わす石は自然界では皆無ですので、与十郎石の一つというような感じで扱うことにしています



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