2004年7月編


 今月より、研修方法を少し変え、飾られた席の良い点を見つけ出すことにしました。これは、「ここをもう少し変えれば良くなる」とか「ここが良くない」とかのアラ探し的な勉強方法では、なかなか個々の力が伸びない為で、良い点をキチンと見極めることのできる鑑識眼(鑑賞眼)を養い、それぞれが行う飾りにも役立たせることにあります


 今月の飾りは、この飾りです




・主 役  水車小屋(陶器)
・卓    ケヤキ隅入り地板
・掛け軸  手長エビ
・添え草  三角イ


●席主曰わく

 今日は大暑で、いよいよ夏本番となってきましたので、少しでも涼しさを感じさせる飾りを行おうとあれこれ考え、この飾りを行うこととしました。主役については、平溜まりの石でも良かったのですが、今回は練習の意味で、あえて水車小屋を主役に飾ってみました
 添え草は、そよそよと流れる涼しげな清流をイメージする為、三角イを添え、掛け軸には、清流に棲む夏の風物詩でもある手長エビを掛け、水車小屋+三角イ+手長エビで、涼しげな清流を鑑賞者に抱いてもらいたく、この飾りを行ってみました
 添え草の地板については、適当なものを探している時間が無く、ありあわせのものに置いてしまったので、若干小さめになっておりますので、ご承知おきください
 また、全体としてのトーンが茶系(暖色系統)になってしまい、景色としては悪くないと思っているのですが、配色として、あまり上手くなっていません


ということでした
次に、研究会で研究しあったことは、概ね次のとおりです

□この飾りの良い点については
・飾り全体から醸し出される清涼感が、非常に清々しくて、かなり良い飾りと思われる
・この飾りで主役に厚めの地板を用いていることが、全体のバランスを考えると非常に好ましく感じる
・水車小屋は、秋から冬にかけて使うものと思っていたが、このように夏使いもできる事に、席主の類い希な技量を感じた
・主役、軸、添え草と三位一体の夏飾りになっている
・主役の大きさが、この床の間にちょうど良い大きさになっていて、天突きの三角イ・横物の軸とも形のうえで絶妙のバランス(調和)がとれている
・何よりも少し厚めで短冊形の地板を用いていることが、この席をボテッとしたものでなく、品良く見せているように感じた


などの意見がでました

□まとめ(全体講評)としては
 季節感については、手長エビの軸を用いることにより、上手に表現されていて、それに水車小屋や三角イを合わせることにより、涼しげな清流を感じることができ、夏飾りとしての清涼感や臨場感はかなりのレベルで表現されているが、やはり、全体としての色調が暖色系なので、配色の点でもう一工夫欲しかった
 このことは、添え草の鉢を均釉・呂均釉などの涼しげな物に変えることにより、配色からの清涼感も感じ、さらに良い飾りになると思われます
 もしくは、添え草の鉢をこのままの状態で使うのならば、主役を平溜まりの石にでも変えて、青磁・均釉・呂均釉などの涼しげな水盤を使って飾れば、配色的な清涼感も感じることができ、良いかもしれません
 添え草の地板も、席主の言うとおり少し小さめで窮屈になっているので、もう少し大きめの物に変えた方が良いでしょう



こちらは、主役の水車小屋です




 参考までに、こちらは、主役を上面から見た写真です。短冊隅入りの地板であることが良くわかります。また、卓や地板を用いる場合は、この写真のように、勝手側から木目を流すように使うことになります





            

掛け軸                               掛け軸のアップ




添え草です 



□その他

 今回の飾りのポイントは配色です。夏飾りだからといって必ずしも青磁・均釉・呂均釉などの鉢や水盤を用いる必要はなく、掛け軸の表装にでも水色系(寒色系)を用いれば、それだけでもかまいませんが、今回のように暖色系ばかりの色調であると、夏らしく涼しげな景色を表すことができても、やはり配色的には、もう一歩ということになってしまいますので、夏や冬の飾りには、配色にも注意して飾ることが良い飾りに結びつくことと思います





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