2004年3月編


 今回の研修会は、毎月使っている部屋を借りることができずに、いつもと違う部屋になってしまいましたので、掛け時計が一緒に写り込んでいて見苦しいのですが、ご容赦ください
 また、すでにお気づきのことと思いますが、少しでも見易くする為、先月分から画像をクリックすると、大きな画像が見られるようにしてありますので、興味ある画像は拡大して見てください



 今月の飾りは、この飾りです

・主役  置物(観梅)陶器・平安祥風作 
・掛け軸 落花渓水

●席主曰わく
 観梅をしている老人を主役として、落花の掛け軸を添えてみた。ここのところの低温で、桜はまだ開花していないので、落花の軸は少し早いかなとも思ったが、キチンと合わせることもできないので、季節感の演出には少々早いと感じたが、あえて使ってみた。添えについては、この飾りに向くものが考えつかず、また、添えは無い方が良いと思ったので、2点飾りにした。掛け軸については、ちょと長すぎる為、少し短めにして使っているが、これから少し短めに仕立て直すつもりであるので、そのように見て欲しい


ということでした
次に、研究会で研究しあったことは、概ね次のとおりです

□席主からの発言については
・圧倒的に渋く、素晴らしい飾りである
・季節感については、少々早そうではあるが、日程が決まっているこのような研修会の場では、多少の季節のズレも仕方がないだろう
・添えは無くても良いというか、無い方が垢抜けていて良いと思う

□その他の意見として
・川岸の土手に桜の樹が連想されるようで、奥ゆかしく想像をかき立てる飾りである
・とにかくネタが良い。このような飾りは、なかなかできるものではない
・主役に地板を用いず、そのまま据えてあるのが、景色を連想させてとても良いのではないか
・主役を老人だけにしたらどうなるのか?
・主役に一対(2人)の置物を利用しているのが、非常に斬新で良い
・主役二人が置かれている位置関係に、一考を要するのではないか? 

などの意見がでました

□まとめとしては
 ネタは良いし、雰囲気も良いし、基本的には、かなり格調の高い飾りで、なかなか見ることのできない逸品飾りであると思われます。細部まで検証してみると、多少の修正点はあるのかもしれませんが、それを補っても有り余るくらい品格が高く、この時期の飾りとしては、滅多にお目にかかることができないものと考えられます
 ちょっと気になるのは、人物二人の位置関係であり、最終的には、もう少し近づけて飾り、一対性を出すことができればほぼ満点の飾りになったのではないかと思われます。また、主役に対する地板ですが、人物・動物などの生き物の場合は、地板を用いると景色を区切ってしまう場合が多くなるので、今回の飾りの場合は、地板がなくて正解だろうと・・・
 添えを置く場合は、主役が動で、軸が静のものなので、しいて置くとすれば、静のものである「捨て小舟」くらいが似合うくらいで、草を置くと軸草とダブってしまうので、この場合は、2点飾りで正解ということになります
 季節感については、本日に例年より一週間ほど早い桜の開花宣言があり、当地としては少々早い感がするが、これくらいは許容範囲内であろうということになりました。もちろん、もう少し時間が経ち、3〜4分咲き位の時期が最適期です



これが主役の置物です


      
これが掛け軸です      (軸のアップ)




○おまけ
 滅多に見ることのできない面白い飾りでしたので、今回は、修正後の詳しい解説を載せてみます
 一番気になるのは、人物二人の位置関係ということになり、いろいろ議論されましたが、次の写真のとおり修正するのが最高だということになりました

 最初の写真と比べると、丁稚さんとの距離が縮まっていることがわかると思います。このように、距離を縮めることによって、一対感が創出され、最初の飾りと比べると、主役の一体感がでてきて、より素晴らしいものになったのではないでしょうか
 また、たとえ少しでも、老人と丁稚さんを正面から見て重ねて置くことにより関連づけも増されてきました

 細かいことを言うと、翁が着ている服はやはり冬の服装なので、あくまでも基本は観梅であるが、まあ桜の時期に流用して使っても、それほど違和感は感じませんので、ギリギリ使える範囲ではあります
 さらに細かく見ると、翁の右手は、杖を持っている状態であるのですが、実際は杖は無く、どこかに紛失してしまったのでしょう(杖については、席主が新たに作るそうです)



 こちらは、修正後の写真です。最初の写真と比べると、それほど差がないように見えてしまいますが、実際に目の前で接してみると、こちらの飾りの方に軍配はあがります

 ただ、写真で見てもわかるとおり、軸が長すぎるので、上方(表木の部分)を巻いて使っています。古い軸ですので、昔の床の間サイズで表具がされていますので、現代の床の間サイズでは、やや長すぎますし、ましてや展覧会場ではとても使うことができませんので、表具のやり直しをする必要があるように思われます(席主も、そのことには気がついいていますので、やり直すつもりでいるそうです)












 参考までに・・・・・

 こちらは、丁稚さんを除いて、主役を翁だけで飾ったものです。こちらの方がシンプルでスッキリとはしていますが、やはり、丁稚さんを一緒に置いた方が、なんとなく物語性を感じて良いように思えます。この場合は、主役である翁を、少し奥の方に飾って全体のバランスをとってあります
 
 翁の高さは7寸ほどですので、今回のように軸との2点飾りも面白いのですが、70〜80cm程の大型の鑞梅・梅・桜・キブシ等の花物盆栽と取り合わせると、なんともいえない風情が出るのではないかと思われる、今回の置物でした

 このような置物でしたら、喉から手が出るほど欲しいです。もちろん、絶対に譲ってはもらえませんけど(笑)






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