2003年12月編




 今月の飾りは、この飾りです
・主 石   山形石(秩父龍眼石)
・掛け軸   舞 鶴
・添 え   サ サ


●席主曰く
 山形石を主石として、冬らしく鶴の軸を掛け、ササを添え草にした
 奥行きのある楕円水盤に据えたが、花台の奥行きが少ないため前後が窮屈な感じがしている
 石は据えるのに難しかったが、逆勝手に据えてみた

ということでした
研究会で、研究しあったことは、概ね次のとおりです

席主からの発言については
・山形石を主石として、冬らしく鶴の軸を掛け、ササを添え草にした
このことについては、充分表現できていると思う。特に今の時期は「正月飾り」になるので、山形石は、蓬莱山を彷彿させる山容となっているので、蓬莱山にはつきものの「舞鶴」の軸が掛けられ、添えもササ(松竹梅の竹と同義)と、目出度い取り合わせとなっていて、上品な取り合わせの正月飾りとなっています。席主は、そこまで深く考えていなかったようですが、結果的には、非常に良い飾りになっていました
通常の正月飾りですと、旭日や夫婦鶴などの軸が掛けられ、正月の目出度さを表現したりするのですが、それでは、いかにも当たり前すぎますので、小さく描かれている舞鶴の軸が良く効いていることがわかります。このような形状(細く丈が高い)の山形石には、動きのある鳥(飛翔している姿)や月の絵が一番似合いますので、鶴が飛翔している向きは反対なのですが、この石に対して舞鶴の軸は、とても良く合っているとともに、ササの添えについても、正月の目出度さを醸し出していて、全体としては良い雰囲気を作り出していると思います

・奥行きのある楕円水盤に据えたが、花台の奥行きが少ないため前後が窮屈な感じがしている
 今回の花台は、舞葡萄の天板の通称「達磨卓」と呼ばれているものが使ってあり、この手の卓には、天板が一枚物や、この卓のように寄せ木で作ってあるものがあります。後者の場合は、上に載せるもの(水盤・鉢等)は、やはり天板内に収まらなければ違和感を感じてしまいます。特にこの卓は、天板が舞葡萄になっているので、枠との境界線が非常に目立ちますので、枠内に収めることが必要になります
 この水盤は、10:9に近い位の奥行きのある水盤で、卓のかなり奥側に寄せてはいるのですが、窮屈さは否めません

・石は据えるのに難しかったが、逆勝手に据えてみた
 この石を正確に据えるのは、かなり難しい石です。この石を据えるポイントは3点あり、一点目は「主峰の向き」で、この石は主峰が左を向いていることがわかると思います。2点目は、左手前にある台形状になっている部分の左側の線(下写真@部分)がポイントになります。写真でもわかるとおり、この部分の見付け線が右下から左上に登っています。このような線を持っていることから、こちら側(左側)から石を右に押すことができませんので、この2点から、どうしてもこちらが勝手側(流れ側)にならざるを得ません。3点目は、右稜線の最下部にある「瘤」のような部分(下写真A部分)です。この部分については、押すというよりも流れを引いてしまう力が働いてしまいますので、この部分がこの石の欠点と言えるでしょう
 ですから、この瘤状の部分の処理に一番頭を悩ますところで、現状のままであれば、このような奥行きのある水盤でちょうど良いのですが、もし、瘤状のものが無いのであれば、も少し右を奥側に振り、10:6〜10:7程度の楕円水盤にちょうど良いと思います




その他の意見として

・水盤の色が、もう少し暖色系統の方が良いのではないか?・・・と言う意見も出ました。現状の取り合わせにおいては、水盤も映えて良いとは思うのですが、呂均釉は基本的には夏使いなので、時代の付いた白釉系統が良いのではないかということになったのですが、まあ、この呂均釉でも、結論的にはダメではないだろうということになりました

・添え草として、席主は他にスナゴケも用意してきましたが、このような蓬莱山系統の山であると、コケのような平らな添え草よりも、少しボリュームのあるササの方がはるかに良いということになりました(これは、石・掛け軸と形状のバランス上という意味です)

・このような達磨卓に限らず、天板が舞葡萄を使っている卓は、たまに見かけるのですが、この卓は、舞葡萄部分が普通よりもかなり明るくなっていますので、黒っぽい紫檀枠と色の対比がきついため、使える水盤が限定されるのではないか?・・・との話も出て、ちょっと使いにくい卓であるとの結論にもなりました。この卓に合う色は、瑠璃・呂均釉・均釉・時代が付いた白・銅盤くらいしかないのではないかということです

 等の意見が出て、最終的には、水盤については、なかなか同じサイズで違った色を見つけることは難しいので、そのままでも、まあまあ許容範囲内であろうということになり、卓については、奥行きがあるものに換えた方が良いであろうということです
 奥行きがある水盤自体は、確かに使いよくて良いのですが、大半の卓は奥行きがあるものが少なく、だいたいが10:6前後の比率のものが多いことになっています。このあたりも、道具選び(道具収集)の難しいところで、奥行きのある卓が少ないことから、奥行きのある水盤の出番が少なくなってしまう傾向があります



  これが掛け軸です



  こちらは、添えのササです



 こちらは、石を上面から見た写真です。あまりにも奥行きが詰まりすぎていることがこれでもわかると思います。右裾の瘤部分がなければ、もう少し右側を奥にして、奥行きの少ない水盤に飾れます

 今回の写真は、好感度で撮影してしまったので、かなりノイズが出てしまい見難くなってしまい申し訳ありません




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