2008年10月編

今月の飾り
 2005年10月の研修会より、勉強方法を少し変えてみました。それは、飾りの中で 『一番良い点』 と 『一番悪い点』 を見つけるという方法です。従来の良い点だけを見つけるという方法も、いわゆる「あら探し」になることなく、飾りの良い点が理解できる方法としては適切なのですが、飾りの悪い点を把握していく事も、ミスの少ない飾りを行う上では勉強になるだろうということで、この方法に変えました
 また、その発表方法についても、今までは、各人が順番に良い点を発言していくという方法でしたが、この方法ですと、最後の方に発言する人は、先に発言する人達の意見を耳にしてしまうので、いろいろと迷ってしまう場合もあります。そのため、今回からは、各人がそれぞれに渡された紙に、『一番良い点』と『一番悪い点』を書いて講師に渡し、最後に講師がそれを発表し、勉強をしていくという方法です
奈良井川産島型石
信楽伊羅保釉長方水盤
花梨平卓
掛け軸は千鳥の図


添えは黒軸カリヤス


3点飾り


 今月の飾りは、奈良井川産の紅流し石を主役にした飾りで、短冊形の伊羅保釉長方水盤に据えられ、花梨製の平卓と取り合わせられています。掛け軸は千鳥の図、添えには黒軸カリヤスが添えられた3点飾りとなっています

 今回の飾りは、紅流しを紅葉に見立て、山型とも島型ともとれる石ですが、前面に入り江状の出入りがありますので島型として飾ってみました。掛け軸は千鳥の図を合わせ、添えには少し紅葉を始めた黒軸カリヤスを合わせてあり、紅流しと草の紅葉で季節感を出してあります。やや草丈が高いかなとも感じています(席主)・・・との事でした

そして集まった意見は次のとおりです

◎一番良い点
・全体のバランスが良い
・落ち着いた感じの席で良い
・渋い感じの席になっていて良い
・石、水盤、卓とのバランスが良い

◎気になる点
・主飾りや添えを置く位置が少し奥過ぎるのでは
・石の振りを少し直した方が良いのではないか(全体を少し前に)
・添えに使っている鉢が正方なので、水盤の形とダブってしまっている
・添えの鉢の厚みが少し厚すぎるのではないか

等の意見が集まりました(複数回答有り)
皆さんは、どのように思われますでしょうか?

◆ 正解 ◆

『一番良い点』については
 今回の飾りで一番良いのは品の良い飾りという事です。主飾り・掛け軸・添え草の一点一点もさることながら、全体から醸し出されてくる品の良さが、一番良い点となっています

『一番気になる点』については
 今回の飾りで、一番良くないところは添え草の鉢使いです。水盤が大撫で角とは言え長方になっていますので、それに対し添え草が正方(隅入り)なのは、形状的にダブってしまっていますので、この点が良くありませんでした。鉢の深さはこれくらいでちょうど良いので、形状的には丸の鉢を使えばさらに良くなります

 石・水盤・卓とのバランスは良いですし、添えの黒軸カリヤスも優しく良く調和しています。主飾り・軸・添えが調和しているだけでなく、品の良さが醸し出されながら調和していると言う事が、今回の飾りの素晴らしい点です

 主石に対して、水盤の形や大きさ、あるいは卓の大きさを合わせる事については、言ってみれば初歩の初歩になり、誰しもそこから入っていく事になるのですが、水盤や卓の強弱を合わせられる事ができるようになったら、次の段階は、プラスαの何かを表現する事ができれば、飾りの格が上がってくる事になります

 文章に書くと簡単そうに思えてしまいますが、実践するとなるとなかなか難しいものでして、飾りを通して侘び寂び・痩せ・枯淡の味わいなどのような、ある種漠然とした美を表現することができるようになりますと、飾りの奥深さの一端を垣間見る事ができます。とは言いましても、これはなかなか難しい事ですね




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