2008年7月編

今月の飾り
 2005年10月の研修会より、勉強方法を少し変えてみました。それは、飾りの中で 『一番良い点』 と 『一番悪い点』 を見つけるという方法です。従来の良い点だけを見つけるという方法も、いわゆる「あら探し」になることなく、飾りの良い点が理解できる方法としては適切なのですが、飾りの悪い点を把握していく事も、ミスの少ない飾りを行う上では勉強になるだろうということで、この方法に変えました
 また、その発表方法についても、今までは、各人が順番に良い点を発言していくという方法でしたが、この方法ですと、最後の方に発言する人は、先に発言する人達の意見を耳にしてしまうので、いろいろと迷ってしまう場合もあります。そのため、今回からは、各人がそれぞれに渡された紙に、『一番良い点』と『一番悪い点』を書いて講師に渡し、最後に講師がそれを発表し、勉強をしていくという方法です
奈良井川産土破型石
緑釉胴紐長方水盤
紫檀中卓
掛け軸は月に静波の図


添えは黒軸カリヤス


3点飾り


 今月の飾りは、奈良井川産の土破(段石)型石を主役にした飾りです。この石を緑釉の長方水盤に据え、中卓と取り合わせています。掛け軸は月に静波の図で、添えには黒軸カリヤスを配した3点飾りとなっています

 今回も、仕事の関係で参加するのが遅くなってしまい、勉強内容が良くわかっていませんが、講師の飾りですので、悪かろうはずがなく良い飾りとなっていますので、紹介するだけにとどめる事にします

 この飾りで注目したいのはやはり石で、この石は写真のとおり逆勝手の土破になっています。普通であれば、高い方が勝手側になるのですが、この石は下段が広く上段が狭くなっていて、やや手前に振っている形状となっています

 普通であれば、あまり良くないのですが、右側からは押していますし、左側はその押された力を左方向へ流している事で、勝手が成立していますので、水石として見る事ができるようになり、石の流れは右から左へ流れるという逆勝手の石となっています

 石・水盤・卓の取り合わせは高次元のレベルで良いですし、石・軸・添え草との取り合わせも良いです。僕がちょっと気になったのは、軸の上下関係です。個人的には「低いものは低く」「高いものは高く」と考えていますので、今回の軸の位置について見てみると、月に静波という事で、高い位置にある月と低い位置にある波との組合せですから、月に主眼をおけば高めに掛けたくなりますし、波に主眼をおけば(実際は波に主眼をおく事はありませんが)低く掛けたくなります。今回軸を掛けた高さは、やや高めにしてあり、これは月を意識してのものだと思われます

 掛け軸を掛ける高さというのは、壁のど真ん中(上下の)に掛けるものではなく、高くか低くかのどちらかになります。今回の場合は、真ん中を避けてやや高めに掛けられていますが、これですと、波(海)の位置がやや高めなってしまい、石と波の関係がわずかながら薄れてしまっているように思えました

 僕が飾るのなら、恐らく掛け軸をもっと下げて掛け、石と波の関係をもう少し関連づけるようにすると思います。このあたりは難しいところではありますが、「石と月」に力点をおくか「石と波」を関連づけるのかの、微妙な美意識の違いなのかもしれません 




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