2007年8月編

今月の飾り
 2005年10月の研修会より、勉強方法を少し変えてみました。それは、飾りの中で 『一番良い点』 と 『一番悪い点』 を見つけるという方法です。従来の良い点だけを見つけるという方法も、いわゆる「あら探し」になることなく、飾りの良い点が理解できる方法としては適切なのですが、飾りの悪い点を把握していく事も、ミスの少ない飾りを行う上では勉強になるだろうということで、この方法に変えました
 また、その発表方法についても、今までは、各人が順番に良い点を発言していくという方法でしたが、この方法ですと、最後の方に発言する人は、先に発言する人達の意見を耳にしてしまうので、いろいろと迷ってしまう場合もあります。そのため、今回からは、各人がそれぞれに渡された紙に、『一番良い点』と『一番悪い点』を書いて講師に渡し、最後に講師がそれを発表し、勉強をしていくという方法です

 今月の飾りは、都合により2席飾られることになりましたので、2席を紹介してみます

釜無川産滝石・台座
紫檀平卓

掛け軸は、虹の図


添えはソビの根洗い


3点飾り


  今月の飾りは、残暑の夏らしく滝石を主役にした飾りです。珍しく台座石飾りになり、紫檀の平卓と取り合わせています。掛け軸は「虹」の図で、添えにはソビの根洗いを添えた3点飾りとなっています

 立秋を過ぎたからといっても、まだまだ残暑厳しいこの季節ですので、滝石を飾ってみました。軸は虹をかけ、添えはソビでの飾りです。季節感と涼しさを感じてもらえると有り難いです(席主)・・・との事でした

そして集まった意見は次のとおりです

◎一番良い点
・石がとても素晴らしい
・季節感がとても良い
・主飾り、添え、軸とのバランスが良く、席を広く使っているのに好感が持てた
・石と軸の取り合わせが良い

◎気になる点
・水盤飾りにした方が、さらに良くなったのでは
・石の振りを少し変更した方が良いのでは
・添えが少し野暮ったい(主石と同じような形状だから)
・軸と石がとの配置があまり良くないのでは
・特に無し
等の意見が集まりました(複数回答有り)
皆さんは、どのように思われますでしょうか?

◆ 正解 ◆

『一番良い点』については
 今回の飾りは、季節感や涼しさも良く出ていますし、飾りとしては品格もあり良い飾りとなっています。その中でも、石の素晴らしは際だっていて、これほどの滝石は、なかなか見られるものではありません。今回の飾りで、一番素晴らしい点は、やはり主石の素晴らしさです
 石全体の景状については、理想的な形状を呈しているだけでなく、滝も山の奥から巻き込んできて、二段に落ちるという、何とも凄い芸をしています。もちろん、滝のある位置も絶好の位置で、かなりレベルの高い滝石となっています

 この石は、良い石と言っても実際は実物を見てもらわないと、その良さを実感することはできない石です。景状の良さは、上の写真でもわかると思いますが、滝の芸も非常に素晴らしく  このよう  になっています。主峰の付け根から裏の見えない所を回り込んで川が流れて滝に至っているだけでなく、滝も二段滝になっています。滝だけの芸で、このような芸を持っている石は、まず滅多にお目にかかれるものではありません。古さも素晴らしく、滝石の名品と呼んでも過言ではないでしょう

『一番気になる点』については
 やはり、石が立ち石になっているのに、添えも縦長で構成されている点で、主石と添えの形状が同じようになってしまっているというのが、席全体のバランスという点で、少し良くありません
 さりとて、縦長の添えだから絶対にダメというほどの事ではなく、あくまでも現状の飾りを、もっと良くするには・・・というレベルの話です。普通であれば、この添えでも、問題があるわけではなく、高次元のレベルの飾りを目指していますので、このような指摘となってしまうのです
 このあたりは、昨月の飾りと同じ感じですね

 2席目はこちらの飾りです

佐治川産岩型石
九輪蒼雲釉長方水盤
布張天拝卓
掛け軸は、燕の図


添えはキリン草


3点飾り


 残暑厳しいとは言え、ツクツクボウシなどの声を聞きますと、そろそろ秋の気配を感じる事もできるようになってきました。この飾りは、岩型石を主役にした飾りです。この石を九輪作の蒼雲釉水盤に据え、布張りが施されている塗りの天拝卓と取り合わせています。掛け軸は「燕」の図で、添えにはキリンソウを添えた3点飾りとなっています

 まだまだ暑いとは言え、そろそろ秋の気配も感じられるようになってきましたので、夏の終わりというか9月らしく、ちょっと秋を感じさせる飾りを目指しました
 主石は岩型石で、軸は2羽の燕です。この両者で、岩の近くを飛んでいる燕という景色をだして、添えにはキリンソウを添えてみました。ほんの少しですがキリンソウが紅葉してきましたので、季節感を出すためにこの鉢を選んで添えてみました。軸については、表装がまだ直してありませんので、ちょっと野暮ったいのですが、これはお許しください(席主)・・・との事でした

そして集まった意見は次のとおりです

◎一番良い点
・季節感があって良い
・卓と水盤の取り合わせが良い
・岩型石と燕の取り合わせが、景色を感じられて良かった
・卓がやさしげな感じで良かった
・全体のバランスが良い

◎気になる点
・水盤が少し大きめでは
・添えが少し小さすぎでは
・主飾りが、少し内側に入りすぎているので、もう少し外に
・添えの形状等が良くないので、もう少し工夫を
等の意見が集まりました(複数回答有り)
皆さんは、どのように思われますでしょうか?

◆ 正解 ◆

『一番良い点』については

 今回の飾りは、石・水盤・卓という主席の取り合わせが抜群で、渋さもあり、品格もあり、高級感も醸しだされていて、水盤への据え位置もピタリと決まっています。ですから、主飾りが一番優れている事になります

『一番気になる点』については
 添えのボリュームが少し小さめなのが、ちょっと気になります。前の飾りと同じで、これでは絶対にダメというほどのレベルではなく、もう少し大きめの物を用いた方が更に良くなるという感じです




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