2007年1月編

今月の飾り
 2005年10月の研修会より、勉強方法を少し変えてみました。それは、飾りの中で 『一番良い点』 と 『一番悪い点』 を見つけるという方法です。従来の良い点だけを見つけるという方法も、いわゆる「あら探し」になることなく、飾りの良い点が理解できる方法としては適切なのですが、飾りの悪い点を把握していく事も、ミスの少ない飾りを行う上では勉強になるだろうということで、この方法に変えました
 また、その発表方法についても、今までは、各人が順番に良い点を発言していくという方法でしたが、この方法ですと、最後の方に発言する人は、先に発言する人達の意見を耳にしてしまうので、いろいろと迷ってしまう場合もあります。そのため、今回からは、各人がそれぞれに渡された紙に、『一番良い点』と『一番悪い点』を書いて講師に渡し、最後に講師がそれを発表し、勉強をしていくという方法です
奈良井川産紋様石台座飾り
紫檀平卓

掛け軸は、睡蓮に水馬の図


2点飾り


  3・4月と多忙で参加できなかった勉強会ですが、今月はなんとか参加する事ができ、久しぶりの更新になってしまいましたが、申し訳ありませんでした

 今月の飾りは、石を床の間の中央に据えた珍しい飾りです。少し紫が掛かった母岩に白っぽく浮き出る紋様石で、写真のように観音様に似た姿が浮き出た紋様石です。その石を平卓に据えて、床の間の中心に飾り、掛け軸は、「睡蓮にアメンボ」の軸を掛けた2点飾りとなっています

 今まで、床の間の中心に石を据える飾りを行ったことがなかったので、今回、初めて挑戦してみました。ご批評をお聞かせください(席主)・・・との事でした

そして集まった意見は次のとおりです

◎一番良い点
・浮き出た紋様の出方も良いし、絵柄も観音様を感じさせる姿で良い
・紋様での姿石にもかかわらず、季節感が出ていて良かった
・石の大きさも床の間の大きさにちょうど良く、全体的なバランスも優れている

◎気になる点
・石を置く位置が少し後ろすぎているため、ちょっと窮屈になってしまっている
・添え草でも置けば、さらに情感や季節感が出て良いのではないかと思った
・卓が少し弱く、石のボリュームに負けている感じがする
等の意見が集まりました(複数回答有り)
皆さんは、どのように思われますでしょうか?


◆ 正解 ◆

『一番良い点』については
神仏的なものを飾るという事は、飾りの中でも一番格が高いものになり、今回の飾りは、観音様に見える紋様石ですので、一番格が高い飾りになり、格の高さと全体的な飾りの雰囲気が、一番良い点になります

『一番気になる点』については
 飾り全体の雰囲気については良いのですが、バランスが良くありません。バランスを崩している原因は2点有り、一点目は主石を置く位置で、床の間の前後に関してですが、やはり奥に飾りすぎでちょっと窮屈になってしまいました(写真からでは、それほど感じないと思いますが、写真は手直しした後に撮影したものです)
 二点目は、卓使いで、使用している卓が良くありません。この卓のどこが良くないのかと言いますと、四つの足が天板の内側に付いている事が、このような石を乗せる場合に良くなく安定感が欠如してしまいます。この卓でもけっしてダメなわけではありませんが、丈の高い台座石を置く場合には、天板の左右の端がガッシリと踏ん張っている事が必要でになってきます
 ですから、この飾りにおいても、卓を変えるとさらに良くなりますので、まあ悪い点というほど大袈裟な事ではなく、注意したい点という感じでしょうか

 神仏に関する石となると、姿石と紋様石だけになり、両石とも台座石として飾る石です。このような台座石を飾る場合には、地板でも卓でもかまいませんが、卓で飾る場合は、前述したとおり天板の左右が踏ん張っている形の卓が一番似合います。これは、神仏の姿石だけに限るものではなく、山水景状石であっても台座で飾る場合には、同じような卓が似合いますので、このような形の卓に飾る事をお勧めします
 また、神仏は、一番格上になりますので、床の間や席飾りに用いる場合は、すべて席の中心に飾る事になり、石に勝手があるからと言って、左右に振ってはいけません。あくまでも中心に据えなければなりません。また、石を中心に据えた場合は、添えを置く必要はなく、どのような添えであっても置いてはならず、席飾りの場合は、掛け軸と主石の2点飾りになり、これが神仏石の正式な飾り方となります

 参考までに、床の間の中心に飾る事ができる物は、格の高い神仏と香炉だけですので、頭の隅にでも覚えておきますと、必ず役に立ちます。気をつけて見ていますと、山水景状石を床の中心に据えてみたり、中には、神仏の姿石を左右に据えたり、香炉を添えに使ったり・・・というような飾りがありますが、これらはすべて間違いです
 水石や盆栽の飾りだけ特別に良いとか許されているというわけではなく、昔から、すべての道(茶道・華道等)での決まり事ですので、守っていきたいものです




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