12月の部

床の間飾り

主石は安倍川産山型石
幅27×奥行き18×高12
水盤は葛明祥白交趾楕円(葛明祥)・紫檀平卓
軸は、雀の図


2点飾り


 日時が経つのは早いもので、いよいよ今年も残すところあと一ヶ月となりました。少し前まで夏だった気がするのに、あっという間ですね・・・

 今月の主役は、安倍川産の山型石です。黒の母岩に白い石灰質を噛んでいる石で、地元では黒紫晃石と呼ばれている石です。黒紫晃とは呼ばれているものの、紫晃石とはまったく違い、黒っぽい紫晃石というわけではなく、少し柔らかい質の石になっています。この山型石を葛明祥の白交趾楕円水盤に据え、紫檀製の平卓と取り合わせてあります。軸は雀の図で、2点飾りとしてみました

 この石は、会の先輩が持っていた石なのですが、その先輩が亡くなられた時に、形見分けしてもらった石です。元々は、静岡の著名な愛石家が所有していたものを、先輩が入手したもので、写真ではわかりにくいのですが、そこそこの時代が付いています
 山型石とは書きましたが、実際は、見てのとおり遠山抱湖の石で、この石を葛明祥の白交趾白水盤に据え、紫檀製の平卓と取り合わせています

 12月になり、そろそろ里の山にも雪が降る季節になりましたので、この石の持つ石灰質の部分を雪(降雪)に見立てて、少し雪景色になった風景になるよう飾ってみました。いわゆる「新雪」の景色です

 軸は雀の図で、石に季節感がありますので、あまり季節感を感じないものということで、いろいろと考えてみたのですが、なかなか良い軸が見つからず、とりあえずこの軸を掛けてみました

 12月の飾りで一番難しいのは、やはり添え草でしょうか。12月末になりますと正月飾りになりますので、赤い実物が目出度くて良いですし、福寿草・梅・蝋梅・水仙なども咲き始め、春めかしい花物があるのですが、12月というと、なかなか難しいですね。もちろん、赤い実物でもかまわないといえばかまわないので、実物を使っても大丈夫なのですが、できれば年明けから使いたいところです
 そんなことを考えてしまうと、なかなか良い物がみつからず、最初は万年草でも添えようと考えていたのですが、平鉢に植えてあるので、この石と同じような形になってしまうもので、結局やめてしまい、今回は2点飾りとしました

 今回は、道具についてちょっと触れてみます。この水盤はいわゆる古い支那(中国)水盤で、一番数が多く著名な葛明祥の水盤です。支那水盤といっても、古渡り・中渡り・新渡・新々渡・平成渡りなどと呼ばれ区別されていて、古渡り・中渡りが古くて時代が付いている事と、数が少ないので人気がありますが、これは中渡りの水盤です。支那水盤の特徴として挙げられるのは、なんといってもその深さと玉縁です。ほとんどの水盤が、深手の玉縁になっていて、縁の無い切立や浅手の水盤は数が少なく、支那水盤の中でも珍重されています。私自身、深手の玉縁水盤は、少々ゴツめなので、あまり好きではないのですが、この水盤は浅手で使いやすいため、支那水盤でも好きな水盤になっています。かといって、深手で玉縁のものだからといって悪いわけではなく、ボリュームのある滝石や岩型石などのように、深い玉縁の水盤に合う石もたくさんあります



玄関飾り

主石は砂鉄川産土破石
幅12×奥4×高2
水盤は銅楕円水盤・香木平卓
単飾り

 12月といえば師走で、仕事もさることながら、大掃除や餅つき、正月準備などなにかと家の用事も重なり、なにかと忙しく、気忙しくもある月です
 このような時ほど、水石などに触れ、少しでも落ち着いた気分になりたいもので、落ち着いた真黒石でも飾ろうと思い、玄関には、この土破石を飾りました
 
 この石は、岩手県の砂鉄川で採石した石で、非常に単純な土破石になっています。本真黒の川擦れの良い石で、景状は単純で、間口が12cmに対し、奥行きが4cmしかない細長い石で、それほど見所のある石ではないのですが、じっくり見ていると、なんとなく落ち着いてくる石で、私としては、まあまあお気に入りの石の一つになっています

 ただ、あまりに細長い石なので、飾るのにも不便を感じる石なのですが、ちょうどこの石に合う短冊の楕円水盤があり、卓も誂えたような卓でして、写真からではわかりにくいのですが、なかなか洒落た飾りになっていると思っています

 水盤はそこそこ古いものなのですが、あまり時代は付いていなく、緑青もほとんど湧いていない状態なのですが、今回は、その黒さが意外と良く、うっすらと赤みのある卓の色との調和が良いですね。色彩的な色映りも、狙った以上に良いのではないかと、思わず自画自賛したいくらいでした(笑)









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