7月の部

床の間飾り

主石は釜無川産滝石
幅13×奥8×高14
水盤は年窯長方水盤・鉄刀木天拝卓
軸は燕の図


添えはシダ


3点飾り


 まだ梅雨の真っ最中ですが、今月も中旬以降になると、いよいよ梅雨も明け夏本番になることと思います。梅雨の間は鬱陶しい日々が続きましたが、月末くらいには、スカッとした夏が楽しめることと思います

 今月の主役は、釜無川産の滝石です。写真のような滝石で年窯の長方水盤に据え、鉄刀木製の天拝卓と取り合わせてあります。軸は燕の図、添えにはシダの3点飾りとなっています

 この石は、釜無川石では代表的な景状の滝石です。釜無川産の石の特長には、黒の母岩に白い石灰分が噛んでいるのが特徴で、白い石灰部分が滝状に見える石が、滝石として地元や近県で有名になっています。釜無川産石のように石灰分を多く噛む石が、滝石になりやすく他には、安倍川・貴船・加茂川・富士川などが良い滝石を産出する川として有名です

 水盤は、年窯の長方水盤を使っています。この石は石の流れやボリュームから考えると、本来ならば少し深めの楕円水盤にピッタリ合うのですが、ちょうど良い水盤がありませんので、仕方がなくこの水盤に据え、鉄刀木製の中卓と取り合わせてあります
 軸は、燕の図です。滝に合う軸ということで、いろいろ考えてみたのですが、なかなか良い物が頭に浮かばないのと、持ち合わせも少ないため、この軸にしてみました

 添えについては、滝に合うものとしては懸崖の木かシダが良く、今回は、清涼感の楽しめるシダの根洗いを選び、今回は3点飾りとしました

 今回の飾りについては、盛夏に突入するということで、涼しさを感じる飾りを心がけ、滝石を主役として選び、滝石のもつ清涼感を引き出すとともに、少し格調を持たせ凛とした飾りにしてみました
 一般的に滝とは見上げて鑑賞するものなので、地板はむろんのこと平卓よりも圧倒的に中卓が似合い、中卓は滝石のためにあるようなものと思われるくらい、滝と中卓は似合います。そのため、今回は中卓を用いています。水盤については、これと同じくらいの楕円があれば最高だったのですが、そうそう思うようにはいかず、不本意ではありますが長方水盤を使っています。楕円であれば、もう少し石の振りを変えてみることにより、もう少し石が良く見えるのですが、こればかりは無いものねだりです。石・水盤・卓との調和はまあまあといったところですが、品というか格調の良さは出ているのではないかと思います
 軸の燕については、書き込みも良く滝石ともほど良く調和しているのですが、表装がイマイチなのが残念です。しかし、これも仕方がありません。添えについては、清涼感を感じさせるためにも緑の物が欲しいところで、シダが添えてあります。ちなみにシダの種類については、名前を同定することができないのですが、普通に山に生えているものです

 総合的に見てみますと、主役の石が少し小さめに感じてしまいます。ここは一間床ですので、もう少し石が大きい方が良いのではないかと思っています。これくらいのボリュームの石で、許容範囲のギリギリでしょうか。また、結果的には、滝・水盤の色・シダで清涼感を現し、主飾りで格調を現すことにより、今回は飾っていますが、凛とした清涼感を伝える事ができたのかどうか・・・



玄関飾り

主石は岩手県産土破石
外縁腰紐撫で角銅長方水盤
幅12×高3×奥9
花梨製平卓
添えは、イグサ

2点飾り


 玄関飾りは、土破を主石に添え草を添えた2点飾りです。主石は岩手県の名前不明な川で拾った土破石で、これを薄めの銅盤に据え、紫檀の平卓と取り合わせてみました。添えは、イグサを添え、2点飾りとしています

 この石は、岩手県で拾ってきた石で、全体の形状とすると山型ともとれるし、たくさんの破面で構成されているのを見ると土破ともとれる石で、実際は、山型でも土破でも、どちらでも良いと思います。非常に薄い石ですので、できるだけスッキリとしたものに飾りたいところではありますが、この銅盤くらいの装飾であれば、それほど気になるものではありませんので、まあ大丈夫でしょう。これを平卓と取り合わせてあります。添えはイグサで、地板は籐製です。写真を編集中に気が付いたのですが、どうも石の据え位置が平行に据えておらず、右が沈み気味になってしまい、少々見難い据え方になってしまいましたが、お許し下さい。本当は、石の段部分を水盤と水平に据えなければなりません

 薄い石ですので天突き形の草が良く似合いますし、清涼感も感じる事ができるため、こちらの添えは、イグサにしました。このイグサも近所の水田からもらってきたもので、正式な名前がわからないのですが、水田から採取したものなので、恐らくホタルイではないかと思っているのですが、定かではありません(笑)

 主飾りが、銅盤に黒石と地味な色彩になっています。これはこれで渋くて良いのですが、これだけでは、ちょっと暑苦しいかもしれません。ちょっと清涼感のある草を添えてやることにより、夏飾りに変身することができました

 今回は、私には珍しく平石を据えてみました。水石家の好みはさまざまで、山が好きな人もいれば、溜まりを好きな人がいたり、なかには、このような平石が好きな人もいます。この石は、平石とはいえ、層をなしている石ですので、土破にも見えたり山にも見えたり、せり出しがあったりと、まあまあ変化がある石なのですが、川擦れが良く変化の少ない石を好まれる方も意外と多いです。今回は、このような平石の据え方について、簡単に触れてみたいと思います

 平石といえば、平溜り・舟形・薄土破・薄遠山といった感じでしょうか。前の3つについては、景色的に見ても、できるだけ低く見たいタイプの石ですので、平卓か地板ということになります
 個別に見ていくと、次のようになります。平石の溜りについては、基本的に上から鑑賞する石ですから、できるだけ低く飾りたいもので、地板を使って飾る事により、上からの視線で溜りを鑑賞する事ができます。間違っても中卓などで飾るとどうしようもありませんから、地板が無い場合は、できるだけ低い卓を使って飾る事になります。舟形については、舳先だけが反っているものと、舳先と艫の両方が反っているものとがあり、舳先だけ反っているものであれば、平卓でも地板でもOKです。両端が反っている形のものは、その反り具合にもよりますが、反っている部分の下側にある空間が結構目立ちますので、天板の下に空間のある卓ではなく、できるだけ地板を使い、空間のうるささを解消する事が必要です。変化の少ない薄土破については、基本的にのっぺりとした平らな石が多く、これを地板で飾ってしまうと、薄い石・薄い水盤・薄い地板と主飾り部分の3品がすべて薄くなってしまい、形としてのバランスと調和が、あまり良くありません。ですから、このような石の場合は、地板ではなくできるだけ平卓を使う事により、形のバランスをとっていくようにします。薄遠山の場合は、景色的にも山ですから、このタイプの石だけは、地板・平卓・中卓どれを用いても、まったく問題はありません。TPOや気分により使い分けても面白いものです





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