まだ梅雨の真っ最中ですが、今月も中旬以降になると、いよいよ梅雨も明け夏本番になることと思います。梅雨の間は鬱陶しい日々が続きましたが、月末くらいには、スカッとした夏が楽しめることと思います
今月の主役は、釜無川産の滝石です。写真のような滝石で年窯の長方水盤に据え、鉄刀木製の天拝卓と取り合わせてあります。軸は燕の図、添えにはシダの3点飾りとなっています
この石は、釜無川石では代表的な景状の滝石です。釜無川産の石の特長には、黒の母岩に白い石灰分が噛んでいるのが特徴で、白い石灰部分が滝状に見える石が、滝石として地元や近県で有名になっています。釜無川産石のように石灰分を多く噛む石が、滝石になりやすく他には、安倍川・貴船・加茂川・富士川などが良い滝石を産出する川として有名です
水盤は、年窯の長方水盤を使っています。この石は石の流れやボリュームから考えると、本来ならば少し深めの楕円水盤にピッタリ合うのですが、ちょうど良い水盤がありませんので、仕方がなくこの水盤に据え、鉄刀木製の中卓と取り合わせてあります
軸は、燕の図です。滝に合う軸ということで、いろいろ考えてみたのですが、なかなか良い物が頭に浮かばないのと、持ち合わせも少ないため、この軸にしてみました
添えについては、滝に合うものとしては懸崖の木かシダが良く、今回は、清涼感の楽しめるシダの根洗いを選び、今回は3点飾りとしました
今回の飾りについては、盛夏に突入するということで、涼しさを感じる飾りを心がけ、滝石を主役として選び、滝石のもつ清涼感を引き出すとともに、少し格調を持たせ凛とした飾りにしてみました
一般的に滝とは見上げて鑑賞するものなので、地板はむろんのこと平卓よりも圧倒的に中卓が似合い、中卓は滝石のためにあるようなものと思われるくらい、滝と中卓は似合います。そのため、今回は中卓を用いています。水盤については、これと同じくらいの楕円があれば最高だったのですが、そうそう思うようにはいかず、不本意ではありますが長方水盤を使っています。楕円であれば、もう少し石の振りを変えてみることにより、もう少し石が良く見えるのですが、こればかりは無いものねだりです。石・水盤・卓との調和はまあまあといったところですが、品というか格調の良さは出ているのではないかと思います
軸の燕については、書き込みも良く滝石ともほど良く調和しているのですが、表装がイマイチなのが残念です。しかし、これも仕方がありません。添えについては、清涼感を感じさせるためにも緑の物が欲しいところで、シダが添えてあります。ちなみにシダの種類については、名前を同定することができないのですが、普通に山に生えているものです
総合的に見てみますと、主役の石が少し小さめに感じてしまいます。ここは一間床ですので、もう少し石が大きい方が良いのではないかと思っています。これくらいのボリュームの石で、許容範囲のギリギリでしょうか。また、結果的には、滝・水盤の色・シダで清涼感を現し、主飾りで格調を現すことにより、今回は飾っていますが、凛とした清涼感を伝える事ができたのかどうか・・・ |