5月の部

床の間飾り

主石は安部川産山型石
幅20×奥14×高12
水盤は陶翠呂均釉長方水盤・斑竹中卓
主石です


軸は早苗の図


2点飾り


 薫風という言葉が似つかわしい5月になりました。私の一番好きな時期であり、植物の花や葉の香りが風に運ばれ、ほのかに漂い感じる事ができる素晴らしい季節です。山には木々や草花に混じって山菜も現れてくるようになり、自然の恵みをも感じ、家にいたり仕事するのももったいないくらいです(笑)

 今回の主役は、安部川産の山型石です。山型といっても島型ともとれる石で、まあ、どちらにとってもかまわない景状の石です。この石を、呂均釉の長方水盤に据え、斑竹の中卓と取り合わせてみました。軸は早苗の図をあわせた2点飾りです

 この石は、安部川産の馬蹄石です。普通の馬蹄石は石質もまあまあ緻密で、色も黒系統なのですが、この石は、色は茶色で表面がマスクメロンのような石肌をしていて、通称メロン馬蹄と呼ばれている石です。普通の馬蹄石よりは緻密さには欠けますが、その分変化が多いのが特徴です。この石は、中央に薄い溜まりがあり、奥には数個の山を擁している遠山抱湖の景状となっています。また、腰が高いため、島型ともとれる景状にもなっています。と言いますか、普通なら島型と見るべきかもしれません。つまり、山や湖を擁した島型という感じでしょう。どちらでも、それほどたいした問題ではありませんね
 この石を長方水盤に据え、中卓に飾りました。水盤が少し大きめに感じますが、これくらいは許容範囲内であろうかと思います。もう一寸小さな水盤がちょうど良い大きさではありますが、持ち合わせがないため、これくらいは仕方がないのでしょうか。また、石自体が一見すると団子状の石ですので、ゴツ目の卓と取り合わせると、ちょっと重目の飾りになってしまいますので、少しでも軽やかさを出そうと斑竹の中卓と取り合わせてあります。石と卓の大きさはちょうど良いのですが、水盤が少し大きめなのが、ちょっともったいないですね

 軸は、早苗の図です。5月になると、田植いよいよえのシーズンに入りますので、早苗の図を添えて季節感を表現してみました。添えについては、軸に植物を使いましたので、添え草は使う事ができません。しいて使うとすると動物や人物の添配となるのですが、これといった物もありませんので、2点飾りとなっています

 配軸も難しいところでして、配軸についても基本はバランスです。軸全体の長さとともに、主役の高さとも関係してきます。同じ軸を使う場合でも、主役の高さにより位置(高さ)を変えることもしばしばあります。本紙部分が主役の高さとかぶってはいけませんし、その範囲内でバランスをとっていく事が重要になってきます
 次に注意しなければならないのは、画題による高さの調節です。この軸は早苗の図であり、水田の状況を現したものでもあります。このように地面にあるものは、できるだけ低く配置するのが原則で、これとは反対に、月などのように見上げるものについては、若干でも高めに飾るのが実景に近いものがあり、自然に見えてくるものなのです
 人間の目とは不思議なもので、地面にあるものが目線より高い位置にあったり、普段から見上げているものが低い位置にあると、とても違和感を感じてしまいます。できるだけ、違和感を感じさせず自然に見せるかというのも飾る人の技量でもありますので、このあたりも配軸を行う時の注意点です
 このような観点で、今回の配軸を見てみますと、早苗の図ですので、できるだけ低く飾りたい一方、中卓を使用していますので、あまり配軸位置を下げることはできず、軸先が石に被らない位置にまで下げてあります。本来なら、この石は、平卓か地板でも使い、配軸位置を下げた方が良かったのですが、いろいろと参考になると思い、あえて中卓と早苗の図を使っています。平卓を使って、配軸を下げてしまえば、何の問題もないのですが、これではきまりすぎてしまい、解説する余地もありません(笑)。公(おおやけ)の展示会では、絶対にしない飾りですが、このようなことも、勉強になりますからたまには良いでしょう(笑)



玄関飾り

主石は姫川産山型石
九輪白釉外縁長方水盤
幅13×高10×奥8.5
欅製平卓
主石です

単飾り


 玄関飾りは、水石の単飾りです。主石は姫川の山型石で、外縁の長方水盤に据え、欅製の平卓と取り合わせています。少々ボリュームのある石ですので、添えを置くと窮屈になってしまいますので、添えは置かずに、水石だけの単飾りにしてあります
 この石は、姫川の蓬系統のジャクレ石で、山頂部の少し下にイボみたいなものがあり、これがちょっと気になっていたのですが、右裾にはわずかながら破面もあり、まあこれくらいなら楽しめるかなと拾っておいたものです。単独の山だけでしたら拾ってこなかったかもしれません。イボみたいものがアクセントと言ってしまえば聞こえは良くなるかもしれませんが、形が単純な孤峰形としては、少し嫌味になりそうにも思っています。多少なりとも破面の芸をも持ち合わせていたり、左右稜線の流れもまあまあですし、家で楽しむのなら、これくらいの石でも大丈夫でしょう





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