3月になると、まだまだ寒い日もありますが、春の訪れを実感できる日々が続いてきて、なんとも良い気分になってきます。今年の冬の寒さは事の外厳しかったので、嬉しさも一入(ひとしお)といったところです。南国からは桜の便りも聞かれ始めたり、小春日和が続くと、心まで暖かくなる感じです
このように春の訪れが実感できる季節でもありますから、今回の飾りでは、さりげなく春らしさを実感できる水石飾りを試みてみました。主石は利根川の山型石で、瑠璃釉の水盤に据え、紫檀の平卓に飾りました。添えは、朧月の図と山野草を添えた3点飾りです
主石の利根川石は、主峰の山頂部の形がイマイチなのですが、全体の景状がまあまあ良かったので拾ってきたものです。添えの軸については朧月で、朧月というのは3月の季語であり、この時期にちょうどマッチしたもので、季節感としては抜群です。石と軸の2点だけでも、充分3月の季節感が出ていると思うのですが、これだけでは、あまりにも渋すぎるし、色彩的にも暖かみがありませんので、今回は季節の花を添え、席に明るさ・暖かみ・柔らかさなどを表現してみました。添えの草については雲間草ですが、こうして写真で見てみると、地板が少し小さすぎでした。小さいとは感じていたのですが、代えるのを忘れてしまい撮影してしまい、こんな変な感じになっています(笑)
軸については、前述したとおり『朧月』であり、朧月自体は3月の季語(季題)でもあります。3月使いが季節感的には最高なのですが、だからといって3月にしか使えないということではありません。基本的には、ただの『月』ですから、3月だけの限定画題ということではなく、年中使いとしても充分使う事はできます。つまり、年中使いではあるが3月が一番の旬ということですね。たいしたことでは、ないかもしれませんが、頭の片隅にでも置いておくと良いです
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