年度末年始と、あまりに忙しかったため、4月下期の飾りはお休みをしてしまいました。そのため、5月上期の飾りから再スタートという事になってしまいましたが、ご容赦ください。本来ならば、4月下期については、タンチョウソウを主役に飾る予定でしたが、忙しかったとともに、気が付いたときには花も傷みが始ってしまい、断念してしまいました
山に行って、山菜などを見ていると、例年より季節が1週間ほど遅れている感じもしましたが、柔らかな新緑の美しさというのは格別なものがあり、本当に素晴らしい季節になってきました。今回の飾りについても、春を身近に感じさせるような飾りにしようと意識し、飾ってみました
今回の主役は、奈良井川土破石(通称油石と呼ばれている最良質の石です)を使ってみました。広々とした平野に春を演出しようという感じです。そのため、軸には「揚げ雲雀」を用いて、穏やかな平野の春風景を演出してみました
主石は土破石ですので、形状からいっても、薄めの長方水盤が一番似合うため、白釉の水盤に据え平卓を用いて飾ってあります。画題の「揚げ雲雀」については、4月から6月上旬くらいまで使える軸ですので、これを取り合わせ、2点飾りで飾りました。添えにそろそろ草物でもと思ってはいるのですが、満足に伸びているのが少なく、もう少し経たないと、無理かなという感じですので、今回も2点飾りです
今回の飾りのポイントは、しいて言うと、形のバランスでしょうか。今回使用した石は土破型の平石ですので、このように横長の薄い石に合わせる軸は、本紙部分が横長のいわゆる横物ではなく、本紙が縦長の普通の軸を取り合わせることになります。そうすることにより、石と軸の形のバランスが良く、見ていても違和感を感じることなく、自然と目に溶け込んでいくのです。ですから、主石に使う石の形と軸の本紙の形にも気を使い飾ると、一段上の飾りになってきます
もちろん、平石に横物の軸を使ってはいけないということではありません。普通の横物ではなく、極端なバランスの横物(縦横比が1:3とか1:4等)の軸を使い、同形を重ねる事により微妙なバランスをとる取り合わせもあり、このような遊びを楽しむのも水石飾りの面白さの一つでもあります。これについては、そのうちチャレンジしてみます |