厳寒期が過ぎ、わずかな庭では鑞梅も咲きだし、梅の開花便りもチラホラ聞こえる季節になってきて、やっと「春の訪れ」を感じるような季節になってきました。そのため、今回の飾りについては、とっとだけ春を感じさせるような飾りにしようと意識して、今回は飾ってみました
今回は富士川産の山型石を主役として使ってみました。この石は青黒系の富士川石ですが、青黒というよりもちょっと色の薄い緑がかかっている系統ですので、4月の後半頃に若葉が萌えるような時期にでも飾れば、より映えそうな石なのですが、まあ、この時期でも大丈夫そうですので、主役としました。石灰が咬んでいる白い部分がありますので、これは残雪みたいにも見えますので、ちょっと早すぎるかなとも思うのですが、平地の低山を意識して飾りました
この石を卍透かしの銅楕円に据えたのですが、水盤がちょっとだけ深めという感じを受けますが、まあ、これくらいでしたら十分許容範囲内です。この石に最適に合わせるためには、もう少し浅めのものが良いのですが、石が細長いため、ちょうど良い水盤はこれしかないため、この水盤を使用しました。卓は紫檀の中卓を使っています。石自体が山型とも島型ともとれる石なので、中卓に飾ることにより山型を意識したため、中卓に合わせてあります
掛け軸は、時期物ということで「梅に鶯」の軸にしました。どこにでもある単純な画題ですが、この時期には、まあ最適なものだろうということで、この軸を使ってあります
添えについては、適当なものがありませんので、添えは置かずに2点飾りにしてみました
今回の飾りのポイントは、しいて言うと、卓の使い方でしょうか。山型と島型はほぼ同じような形態をしていますので、卓の使い方により山型にもなるし島型にもなりますが、今回の飾りのように、中卓を合わせることにより、完全に山型石であることを主張することができます。この石を平卓に飾り、海や海岸に関連するような軸や添配を添えると、島型石としても飾ることができ、これは、飾る人の考え次第で変えることができます |