山々の紅葉もすでに終盤に近くなり、かなりの木々が落葉をいよいよ晩秋から初冬にかけての景色となってきて、朝晩も少しずつ冷え込むようになってきました
そんなこともあり、今回の飾りは、初冬をイメージしながらの水石飾りです。そのために用意した軸は、孤鹿の軸で、この画題は晩秋から初冬にかけての画題ですので、ちょうど良い季節かなと思いこの軸を使用することと決め、それから主役の石を選定することにしました
今回の飾りは、軸に合わせて主役の石を選んだわけですが、画題の難しさと軸がちょっと長めのため、石の選定が難しく、山型・島型・茅舎などは、絵の内容からすると合わせることができないので、土破か滝が良いだろうということになりました。土破は前回使用している為、今回は滝石を主役にすることにしました。ただし、軸が縦物のため、できれば横長の滝石をということで探した結果、左勝手の横長滝石がありましたので、この石を主役とすることにしました。偶然、前回の飾りに使った水盤と卓が使えそうなので、前回と同じ水盤は灰釉の楕円水盤にし、タモの平卓を使用しました
主役の石については、見てのとおりあまり良い石ではなく、底も良くないので、少し深めの水盤にもかかわらず、右裾が少し浮いてしまっていますが、この軸に合わせようとすると、この石しかなかったので、ご容赦ください
卓については、滝石なので本来なら中卓に飾りたいところなのですが、長めの軸の為、中卓を使うと主役の石と軸の絵があまりにも近距離になってしまうので、今回のような場合は、平卓の方が全体のバランス上良さそうです
添えについては、軸に若干の植物が描いてあるので、草物は置くのを避け、添配も景色にあうような物も考えつかなかった為、今回はこの2点飾りとなりました
今回の飾りのポイントは、全体の調和とバランスです。最初に、この軸を使って飾ろうと思った時に頭に浮かんだのが、 『平卓を使ってちょっと厚手の横長の物を飾る』 ということでした。この軸を使う限り、バランス的にはこの取り合わせが最良だろうと思い、絵柄との取り合わせでは、横長の滝石か少し高めの土破しかないということで、全体のバランス重視という観点から今回の取り合わせになりました
このような床飾りをする場合は、主役の石を決めてから軸や添えを選定していくのが普通だと思うのですが、私の場合、使い勝手の良い軸の持ち合わせが少ないので、ついつい軸を決めてから飾り全体を決めていくという手順になってしまいます。そのため、石の選定に困ることが多々あります(笑)。やはり軸に石を合わせるのではなく、石に軸を合わせることの方が得策ではないかと思う今日この頃です
最終的には、今回の飾りとなってしまい、道具の使い廻しな感じになったり、満足な石が飾れないことには、不満が残ったのですが、席としてのバランスや調和はとれたのではないかと考えています |