12月上期の部

床の間飾り

主石は釜無川滝石
幅16×奥10×高11

水盤は九輪灰釉楕円水盤
幅42×奥28
タモ平卓
軸は鹿の図


2点飾り


 山々の紅葉もすでに終盤に近くなり、かなりの木々が落葉をいよいよ晩秋から初冬にかけての景色となってきて、朝晩も少しずつ冷え込むようになってきました
 そんなこともあり、今回の飾りは、初冬をイメージしながらの水石飾りです。そのために用意した軸は、孤鹿の軸で、この画題は晩秋から初冬にかけての画題ですので、ちょうど良い季節かなと思いこの軸を使用することと決め、それから主役の石を選定することにしました

 今回の飾りは、軸に合わせて主役の石を選んだわけですが、画題の難しさと軸がちょっと長めのため、石の選定が難しく、山型・島型・茅舎などは、絵の内容からすると合わせることができないので、土破か滝が良いだろうということになりました。土破は前回使用している為、今回は滝石を主役にすることにしました。ただし、軸が縦物のため、できれば横長の滝石をということで探した結果、左勝手の横長滝石がありましたので、この石を主役とすることにしました。偶然、前回の飾りに使った水盤と卓が使えそうなので、前回と同じ水盤は灰釉の楕円水盤にし、タモの平卓を使用しました
 主役の石については、見てのとおりあまり良い石ではなく、底も良くないので、少し深めの水盤にもかかわらず、右裾が少し浮いてしまっていますが、この軸に合わせようとすると、この石しかなかったので、ご容赦ください
 卓については、滝石なので本来なら中卓に飾りたいところなのですが、長めの軸の為、中卓を使うと主役の石と軸の絵があまりにも近距離になってしまうので、今回のような場合は、平卓の方が全体のバランス上良さそうです

 添えについては、軸に若干の植物が描いてあるので、草物は置くのを避け、添配も景色にあうような物も考えつかなかった為、今回はこの2点飾りとなりました

 今回の飾りのポイントは、全体の調和とバランスです。最初に、この軸を使って飾ろうと思った時に頭に浮かんだのが、 『平卓を使ってちょっと厚手の横長の物を飾る』 ということでした。この軸を使う限り、バランス的にはこの取り合わせが最良だろうと思い、絵柄との取り合わせでは、横長の滝石か少し高めの土破しかないということで、全体のバランス重視という観点から今回の取り合わせになりました
 このような床飾りをする場合は、主役の石を決めてから軸や添えを選定していくのが普通だと思うのですが、私の場合、使い勝手の良い軸の持ち合わせが少ないので、ついつい軸を決めてから飾り全体を決めていくという手順になってしまいます。そのため、石の選定に困ることが多々あります(笑)。やはり軸に石を合わせるのではなく、石に軸を合わせることの方が得策ではないかと思う今日この頃です
 最終的には、今回の飾りとなってしまい、道具の使い廻しな感じになったり、満足な石が飾れないことには、不満が残ったのですが、席としてのバランスや調和はとれたのではないかと考えています



玄関飾り

主石は加茂川石
幅10×奥6×高6
短冊は残り柿・俳句
2点飾り
 玄関飾りについては、適期の短冊はこの短冊しかなく、今回はこの短冊を使った飾りとなりました

 この加茂川石は、数年前に先輩から頂いた石なのですが、正直言って飾るのに困った石で、その形状から見ても、これといった特徴のある石ではなく、茅舎に見えそうにも思うのですが、単なる岩型にも見えてしまうような難しい石だと思っています。見ようによっては、崩れかけの廃屋にも見えないこともあり、台座をつけたこともあり、今回はこの石を茅舎に見立てて飾ることにしました
 この短冊を使うことに決めてから、主役の選定をおこなったのですが、この絵に似合う物を考えてみると、やはり合いそうな物の筆頭が鐘突堂や寺院の添配か茅舎石ではないかと思い、今回の石を選定してみました

 今回の飾りについては、俳句が書かれた短冊であり、あまり好きな短冊ではないのですが、残り柿に小僧という絵柄の良さで、この短冊を使うことになりました(短冊の持ち合わせがほとんど無いというのが、一番の要因でもあります)。
 この短冊であれば、本来はもう少し下げて飾りたいところなのですが、掛ける部分が短いということもあり、全体のバランスを考えて、これ以上は下げられないだろうというところまで下げたつもりでいます。また、竹の短冊掛けについても、少々時機を逸しているとは思うのですが、道具(短冊掛け)の持ち合わせが無いこともあり、このあたりのことについてはご容赦願いたいと思います

 今回は、石を乗せている地板について考えてみたいと思います。今回使用した地板は、幅が18cmで厚みが4mmの屋久杉波形地板です。今回の石を、崩れた壊れかけの庫裏というイメージでいたので、紫檀などの唐木の地板ではなく、柔木の地板に据えてみました。また、板の厚みについても、あまり薄い物だと、この席(玄関:下が板)では、似合わないだろうと考え、この厚みの物にしました。鐘突堂や寺院の添配でしたら、薄手でちょっと広めの唐木地板で良いと思うのですが、この石のように 『ひなびた』 感じを受ける物では唐木は似合わないと思うからです
 また、茅舎石だけは平卓を使うよりも、地板の方が地面との一体感を感じさせ、圧倒的に似合いますので、平卓ではなく地板を使うようにしています





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