暑かった夏も終わり、過ごしやすい10月になりました。すでに北海道とか高山では紅葉の便りも聞こえるようになり、いよいよ季節も秋に移ったかと実感することができます
今月は、写真のようなフジバカマの根洗いを主草にして飾ってみました。軸には捨て小舟の図を添えた2点飾りです。主草のフジバカマは、黄瀬戸の捏ね鉢に入れて、蓮弁の形をした地板と取り合わせています
この草は、園芸品としては普通にたくさんあるのですが、野外では非常に少なくなってしまい、今では絶滅危惧種となってしまった草です。本県でも『野生絶滅』というカテゴリーに区分される植物で、野生個体は絶滅してしまいました。もちろん、この個体は園芸品です。園芸品と言っても、元々は野生植物ですから、野草にはかわりなく、古くから日本人に愛されていた花の一つでもあり、この時期になりますと、物憂げに咲く姿は秋と良くマッチしている草です
かなり前から鉢植えにしていたのですが、ここ数年は根詰まりのため、数cmしか伸びない状態でしたので、処分してしまおうかと思ったのですが、春先に鉢から抜いて根洗いにしておいたら、今年は花茎を伸ばしてくれて、なんとか見られそうな感じになりましたので、今回、飾ってみました
水盤については、本当なら浅くてもう少し間口のある物に据えたかったのですが、そのような物は持ち合わせていませんので、この捏ね鉢に据えてみました。ちょっと捏ね鉢が厚くて強いのですが、これは我慢です(笑)。この主草に捨て小舟の軸を掛け、秋らしく、憂いがあって落ち着いた飾りを目指しました
軸は画題を「捨て小舟」としましたが、実際は鳥が主役で、この鳥は「イソヒヨドリ」という鳥だと思います。小さな沼地の秋の風景という感じで、取り合わせてみました。あさっりとしていながらも渋い感じのする軸ですので、水辺の物とはいえ秋には良さそうな感じがします
写真ではわかりにくいと思いますが、かなり草姿が乱れています。これは、とっかえひっかえ置き場所を移動させてしまったからで、その度に花茎が曲がってしまい、ちょっと纏まりのない姿になってしまいましたが、展示会に使うのならともかく、家で楽しむくらいなら、これくらいでも充分でしょう(笑) |