主石は釜無川産岩型石 幅14cm×奥12cm×高18cm 水盤は春松桃紅釉長方水盤・花梨平卓 |
軸は紅梅の図 |
2点飾り |
|||
1月末から2月中旬くらいまでが、一年の中で一番の厳寒期であり、こちらでも、冷え込む時はマイナス10度近くまで冷え込んだりするのですが、今年は例年にない暖冬で、すでに小春日和と呼べるような日があったりします 我が家でも、ロウバイがそろそろ終わりを迎えるかなと思ったら、野梅や猫柳が例年より早くほころびだしてきて、厳寒期であるのにもかかわらず、早春を思わせています 今月の主役は、釜無川産の岩型石です。なだらかな遠山でも飾って、早春の感じでも味わうようにしようかなとも思ったのですが、急転直下気が変わって、この石に変えてしまいました。特にこれといった理由があるわけではないのですが、なんとなく岩型石を飾りたくなりました(笑)。この石を春松の水盤に据え、花梨製の平卓と取り合わせてあります。季節感を出すため。軸を紅梅図にし、2点飾りとしています この石は、釜無川産の黒系の石であり、石灰分を良い位置に噛んでいる物もあり、滝石として鑑賞されている石です。景色としては、ぐ〜っと盛り上がったような岩型石になっていて、奥には岸壁を備え、その手前には、見えない位置に滝と言いますか雪渓を有している岩型石です 岩型石というと、ドシッと大地に根を張ったような豪快な岩型もありますが、この石のように、立ち石形の岩型もあり、もちろん、どちらが良いというわけではなりませんが、個人的には、後者のような石がちょと洒落ていて好きです。このような立ち石系の石は、岩型の他に山形と滝石がありますが、岩型と滝石に関しては、裾がすぼまっている方が形状として見た時に美しく、裾が膨らんでしまうと、どうしてもボテッとした感じになってしまい、小洒落た感じになりません。もちろん、裾が膨らんでいるからといって、水石としてダメと言うことではなく、洒落た石にならないというだけの事です そのような観点から見ると、この石は裾がすぼまっていて、ボテッてはいませんが、さりとて、それほど良い石ではないのですが、勉強になりそうな石ですので、あえてこの石を主石に選んでみました また、右裾が上部に比べ少し薄い事に違和感を感じる人もいるかもしれませんが、山形系統の石でしたら、裾は綺麗に収まっていないと欠点になってしまいますが、立ち岩型と滝石に関しては、前述のとおり、この限りでなく、これくらいすぼまっている方が、良く見られます。右裾が少し窪んでいることにより、左から緩やかに押された力が綺麗に右に流れ、調和がとれてくるのです。この石の場合、左稜線中で一番膨らんでいる部分がやや下目にあり、左から押す力点としては、ちょっと下目過ぎなのですが、左からの押しと右への流れのバランスは、これくらいでもまあまあ調和している範囲でしょう 水盤は桃紅釉の長方水盤を使っています。春松でも少ない釉薬なのですが、それもそのはず、この釉薬は陶翠(緑寿庵)から借りた釉薬で焼成された物ですので、数的には少ない釉の水盤です。陶翠の桃紅釉は有名なのですが、まったく同じ釉を使った春松の水盤は、数も少ないのであまり知られていません。春松さんは、自分の使っている釉薬にあまり良い物が無く、陶翠や志茄埜庵から釉薬を借りて焼いていたりしたので、陶翠や志茄埜庵と同じ釉の物が結構見られ、当たり前ですが、自分の釉で焼いた物よりも、こちらの水盤の方が評価が高くなっています この桃紅釉というのは、写真で見てもわかるとおり、陶芸の釉薬としては、非常に面白い物なのですが、いざ水石飾りに実用する段になりますと、あまり使い易い釉ではありません。まあ、秋から冬限定の色という感じでしょうか。それとは逆に、使いにくさはあるものの、冬使いをすれば、その色味が最大限に活かされてくるものでもあります。そのため、今月使ってみました 軸は、紅梅の図です。水盤の色が桃紅釉で赤みのある色ですので、本来なら白梅を合わせたいところだったのですが、残念ながら持ち合わせがないもので、仕方がなくこの軸を使っています 軸が紅梅という植物ですので、添えについては、添え草は紅梅と同じ植物ですから、添え草は置きたくなく、さりとて、これに似合う添配もありませんので、2点飾りとしました。軸にウグイスとか月とかを掛け、添えに黄色の福寿草や蕗の薹などを取り合わせれば、季節感も良くなりますし、色彩的な彩りも良くなることはわかっているのですが、たまには、こんな飾りも良いでしょう さて、この岩型石のどこが勉強になるのか、ちょっと解説してみたいと思います。この石の最大の見所は、実は こちら で、絶壁(通称壁と呼びます)の手前にある谷部と雪渓部分が一番の見所となっています。ただし、この石は こちら のように谷部の後ろに壁がある石となっています。これを見てしまいますと、初心者の方は、ついつい良い部分を正面に飾ってみたくなるのですが、石の見方の基本に 「壁は正面から見る」 というのがあり、壁を持った石は、壁部分を正面にして見なければなりません。これは、壁を斜めに見てしまいますと、壁の持っている流れは非常に強いものであり、石の流れが左右でなく斜めに流れてしまうからなのです。つまり、壁を持っている石は、嫌でも壁が正面になってしまうのです。もちろん、わずかな角度のズレは問題ありませんし、壁自体が狭い面積であれば、角度などそれほど問題にもなりません。また、壁を正面から見て景色を感じ取ることができない石は水石ではないかもしれません。壁を持つ石は、しばしば出会う石でもありますから、覚えておくと良いと思います |
玄関飾り
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||