いよいよ7月に入り、あとは梅雨明けを待って本格的な夏に入りことになります。幸い先月末くらいから湿度は高くても、例年よりも気温は低いので、こちらでは珍しくあまり鬱陶しくありませんでしたが、7月の声を聞いてからは、さすがに気温も上昇し始め、過ごしにくくなってきました。どうせなら暑くてもカラッとした陽気の方がまだ良いので、早く梅雨が明けて本格的な夏の到来が待ち遠しくなってきました
今月の飾りは、奈良井川産の土破石を主役にした飾りです。土破といっても一番シンプルな形の土破で、ただ切ったような破面を持っているだけの石で、高土破とか天土破などと呼ばれている景状の石です。この石を角山の均釉楕円水盤に据え、紫檀の平卓と取り合わせています。軸には素滝の図、添えにはコガネシダを添えた3点飾りとなっています
今回の飾りは、見てのとおり【滝見台】をイメージしています。高土破石には滝が良く似合いますので、この石を飾ろうと思った瞬間に、軸は滝と決めてました(笑)。このような石には、他には月くらいしか思い浮かびません。もちろん、季節の樹木なども大丈夫ですが、調和の仕方が滝にはかないません。となれば、添え草はシダが似合うことになりますので、いくつか迷いましたが、このコガネシダにしました
この石は、写真で見てもわかるとおり薄い卵形の真黒石で、その上部が摂理で割れただけの変哲もない石です(笑)。変化はほとんど無いシンプルな形状ではありますが、勝手もありますし、川擦れの効いた石肌もまあまあでしたので、何とか見られるかもしれないと思い拾ってきたものです。このまま庭に置いておいても陽の目を見ることはありませんので今回飾って見ました(笑)
水盤は均釉の外縁楕円水盤に据え、紫檀の平卓を取り合わせて飾ってあります。やや水盤が大きめですし、外縁なのもやや強め気味なのですが、このあたりは持ち合わせがないので我慢となります
添えはコガネシダの根洗いで、軸は滝の図です。高土破を滝見台に見立てて、滝の軸を合わせ、水辺の景色であることからシダを添えてみました
滝の軸は昔からたくさん描かれていますので、数としては多くありますが、ほとんどは岩や草木が描かれていたり、紅葉などの差し枝や鳥が描かれていたりして、この軸のように滝の流れだけが描かれている物はあまり多くありません。このように滝の流れだけが描かれている物は、通称「素滝(すたき)」と呼ばれていて、滝以外に何も描かれていませんので、水石や盆栽と取り合わせるのには、一番使う事ができる軸となっています。シンプルさゆえ、景色としては小さくなってしまいますが、臨場感や涼感は高くなりますので、滝の軸を探す場合には、このような軸を探すことをお勧めします |